ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤の効果[論文18件の分析]
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この分析は、PubMed に収録されている研究論文を基にしていますが、医学研究は常に進展しており、最新の知見を完全に反映しているとは限りません。また、特定の研究分野に偏りがある可能性もあります。
この情報は医療アドバイスではなく、医師による診断や治療の代替となるものではありません。「ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤の効果[論文18件の分析]」に関して懸念がある場合は、必ず医師にご相談ください。
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主要な研究結果
ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤(Diclectin)は、妊娠中の悪阻に対するカナダで唯一承認された薬剤です。標準推奨用量は、体重や症状の重症度に関わらず、1日に最大4錠です。 7 。本研究では、Diclectinを推奨用量(n=123)または推奨用量を超える用量(n=102)で服用した225人の女性における母体および胎児への悪影響の発生率と妊娠転帰を調査しました。観察的予後調査の結果、女性の33.6%が薬剤との関連があると思われる副作用(眠気、疲労、またはだるさ)を報告しました。体重1kgあたりの用量と報告された母体副作用の発生率の間に関連はありませんでした。用量は0.1mg/kgから2.0mg/kg(1〜12錠)の範囲でした。 7 。妊娠中の悪阻(NVP)は、女性の過半数(75.8%)で重症と報告されました。平均出生体重(BW)は3,400g、妊娠週数(GA)は39週でした。多変量解析の結果、妊娠前の体重とGAのみがBWの低下を予測し、D-Pの用量やNVPの重症度は予測しませんでした。 7 。主要な奇形が認められた妊娠は2例であり、これは一般集団における出生欠損の発生率と一致しています。 7 。結論として、体重1kgあたりの用量で算出した標準用量を超えるDiclectinの投与は、母体副作用の発生率や妊娠転帰に影響を与えません。必要に応じて、Diclectinは、体重に合わせて標準用量を超える用量で投与することができます。 7 。
別の研究では、1977年7月1日から1982年6月30日までの間に、グループヘルスコープレーティブオブパゲットサウンドで生まれた、出生時またはその直後に構造的異常が認められた乳児の長期追跡調査の一環として、幽門狭窄症と診断された乳児をすべて特定しました。自動薬局プロファイルを使用して、妊娠初期の母体のBendectinの使用と乳児の肥厚性幽門狭窄症の間に関連性があるかどうかを調べました。妊娠中にBendectinを服用した3,835人の女性のうち、13,346人の出生の中で、13人の乳児が幽門狭窄症を発症しました。Bendectinを服用していない9,511人の女性のうち、13人の乳児が幽門狭窄症を発症し、リスク比は2.5(95%信頼区間(CI)1.2-5.2)となりました。 12 。Bendectinの処方箋の数を基準に母親を分類すると、Bendectinの処方箋を1回だけ受けた女性ではリスク比は1.2(95%CI 0.4-4.4)であったのに対し、妊娠中に5回以上Bendectinの処方箋を受け取った女性ではリスク比は7.6(95%CI 4.9-11.6)となりました。 12 。
また別の研究では、妊娠初期のBendectinの暴露と先天性奇形の発生の関連性を、北カリフォルニアのカイザーパーマネンテ出生欠損研究に登録された31,564人の新生児を対象に前向きに調査しました。あらゆる主要な奇形とBendectinの使用のオッズ比は1.0(95%信頼区間0.8-1.4)でした。 13 。先天性奇形は58種類あり、そのうち3種類がBendectinの暴露と統計的に関連していました(小頭症-オッズ比=5.3、95%信頼区間=1.8-15.6;先天性白内障-オッズ比=5.3、95%信頼区間=1.2-24.3;肺奇形(ICD-8コード484.4-484.8)-オッズ比=4.6、95%信頼区間=1.9-10.9)。 13 。これは、偶然に期待される関連性の数とちょうど一致しています。独立した研究(共同周産期プロジェクト)を使用して、Bendectinの使用なしに妊娠中の嘔吐がこれらの3種類の奇形と関連しているかどうかを調べました。3種類の奇形のうち2種類(小頭症と白内障)は、Bendectinの使用なしに嘔吐と強い正の関連性がありました。 13 。結論として、Bendectinの暴露後に主要な奇形の発生率が上昇することはなく、Bendectinと個々の奇形の間に認められた3つの関連性は、因果関係がないと考えられます。 13 。
ベネフィットとリスク
ベネフィット要約
ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤は、妊娠中の悪阻に対する効果的な治療法であり、母体および胎児への副作用の発生率は、標準用量を超えても増加しない可能性があります。 7 。さらに、妊娠中の悪阻を効果的にコントロールすることで、母体および胎児の健康状態を改善する可能性があります。 7 。
リスク要約
ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤の最も一般的な副作用は、眠気、疲労、またはだるさです。 7 。しかし、これらの副作用は、通常、軽度であり、時間とともに消失します。 7 。また、この薬剤は、妊娠中に摂取した場合、胎児に奇形を引き起こす可能性があります。 12 。ただし、このリスクは、一般集団における出生欠損の発生率と一致しています。 7 。
研究間の比較
研究の共通点
多くの研究で、ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤は、妊娠中の悪阻に対する効果的な治療法であり、母体および胎児への副作用の発生率は低いことが示唆されています。 7 。また、これらの研究は、この薬剤の用量は、体重に合わせて調整できることを示唆しています。 7 。
研究の相違点
一部の研究では、ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤の暴露と先天性奇形との関連性が示唆されています。 12 。ただし、他の研究では、この薬剤と先天性奇形の間に関連性がないことが示されています。 13 。これらの矛盾する結果の原因は、研究デザイン、サンプルサイズ、データ分析方法の違いによる可能性があります。
結果の一貫性や矛盾点について
いくつかの研究では、ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤の暴露と先天性奇形との間に関連性が示唆されています。 12 。しかし、他の研究では、この薬剤と先天性奇形の間に関連性がないことが示されています。 13 。これらの矛盾する結果の原因は、研究デザイン、サンプルサイズ、データ分析方法の違いによる可能性があります。
実生活への応用について注意点
妊娠中の悪阻の治療にドキシルアミン・ピリドキシン配合剤を使用する場合は、医師と相談して、リスクとベネフィットを十分に理解する必要があります。妊娠中の悪阻は、妊娠中の一般的な症状であり、多くの場合、ライフスタイルの変更や家庭療法で改善されます。 5 。ただし、症状が重症で、日常生活に支障をきたす場合は、医師の診察を受ける必要があります。 7 。医師は、妊娠中の悪阻の原因を特定し、適切な治療法を提案します。妊娠中の悪阻の治療には、食事療法、薬物療法、またはその両方が用いられます。 7 。食事療法には、小分けに食事をとること、水分を十分に摂ること、高脂肪の食品を避けることが含まれます。 7 。薬物療法には、ビタミンB6、ドキシラミン、メトクロプラミドなどの薬剤が用いられます。 7 。妊娠中の悪阻は、通常、妊娠の第1トリメスターに始まり、妊娠の第2トリメスターまでに改善します。 7 。ただし、症状が妊娠の第2トリメスターまで続く場合や、妊娠の第3トリメスターに始まる場合は、医師の診察を受ける必要があります。 7 。妊娠中の悪阻は、母体と胎児の両方に影響を与える可能性のある深刻な症状です。 7 。そのため、症状が重症で、日常生活に支障をきたす場合は、医師の診察を受ける必要があります。 7 。
現在の研究の限界点
これらの研究の限界点は、観察的予後調査であったことです。そのため、因果関係を証明することはできません。 7 。また、これらの研究は、カナダで実施されたため、他の国々では結果が異なる可能性があります。 7 。
今後必要とされる研究の方向性
将来の研究では、ランダム化比較試験を実施し、ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤の安全性と有効性をより詳細に調査する必要があります。 7 。また、これらの研究は、さまざまな国々で実施する必要があります。 7 。
結論
これらの研究は、ドキシルアミン・ピリドキシン配合剤は、妊娠中の悪阻に対する効果的な治療法である可能性を示唆しています。 7 。ただし、この薬剤の使用に関するリスクとベネフィットを理解することが重要です。 7 。妊娠中の悪阻の治療について質問がある場合は、医師に相談してください。 7 。
論文タイプ
著者: BrentRobert
原題: Medical, social, and legal implications of treating nausea and vomiting of pregnancy.
原文 : 英語
著者: SheffieldL J, BatagolR
原題: The creation of therapeutic orphans--or, what have we learnt from the Debendox fiasco?
原文 : 英語
著者: HowlandRobert H
原題: Concern for truth: driving defensively when confronting a zombie epidemic.
原文 : 英語
著者: KorenGideon
原題: The return to the USA of doxylamine-pyridoxine delayed release combination (Diclegis®) for morning sickness--a new morning for American women.
原文 : 英語
著者: MazzottaP, MaltepeC, NaviozY, MageeL A, KorenG
原題: Attitudes, management and consequences of nausea and vomiting of pregnancy in the United States and Canada.
原文 : 英語
著者: MatokIlan, ClarkShannon, CaritisSteve, MiodovnikMenachem, UmansJason G, HankinsGary, MattisonDonald R, KorenGideon
原題: Studying the antiemetic effect of vitamin B6 for morning sickness: pyridoxine and pyridoxal are prodrugs.
原文 : 英語
著者: AtanackovicG, NaviozY, MorettiM E, KorenG
原題: The safety of higher than standard dose of doxylamine-pyridoxine (Diclectin) for nausea and vomiting of pregnancy.
原文 : 英語
著者: BrentR L
原題: Bendectin: review of the medical literature of a comprehensively studied human nonteratogen and the most prevalent tortogen-litigen.
原文 : 英語
著者: ElbourneD, MutchL, DaunceyM, CampbellH, SamphierM
原題: Debendox revisited.
原文 : 英語
著者: KaufmanH H
原題: The expert witness. Neither Frye nor Daubert solved the problem: what can be done?
原文 : 英語
著者: KorenGideon
原題: Safety considerations surrounding use of treatment options for nausea and vomiting in pregnancy.
原文 : 英語
著者: AseltonP, JickH, ChentowS J, PereraD R, HunterJ R, RothmanK J
原題: Pyloric stenosis and maternal Bendectin exposure.
原文 : 英語
著者: ShionoP H, KlebanoffM A
原題: Bendectin and human congenital malformations.
原文 : 英語
著者: HendrickxA G, PetersonP E
原題: Perspectives on the use of the baboon in embryology and teratology research.
原文 : 英語
著者: MageeLaura A, MazzottaPaolo, KorenGideon
原題: Evidence-based view of safety and effectiveness of pharmacologic therapy for nausea and vomiting of pregnancy (NVP).
原文 : 英語
著者: JeddM B, MeltonL J, GriffinM R, KaufmanB, HoffmanA D, BroughtonD, O'BrienP C
原題: Factors associated with infantile hypertrophic pyloric stenosis.
原文 : 英語
著者: PersaudNav, HealyDavid
原題: Epidemiological evidence in forensic pharmacovigilance.
原文 : 英語
著者: McKinneyP A, CartwrightR A, StillerC A, HoptonP A, MannJ R, BirchJ M, HartleyA L, WaterhouseJ A, JohnstonH E
原題: Inter-Regional Epidemiological Study of Childhood Cancer (IRESCC): childhood cancer and the consumption of debendox and related drugs in pregnancy.
原文 : 英語
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