正常な冠動脈を伴う胸痛に対する、集団心理療法

著者: FoxK A, JohnstoneE C, LewinR, PottsS G

原題: Group psychological treatment for chest pain with normal coronary arteries.

概要

本研究は、血液力学的正常な血管造影後に、心臓専門医による安心感を得たにもかかわらず、胸痛が続く患者のための心理的治療パッケージの有効性を評価した。治療は、胸痛の発症回数の有意な減少、不安と抑うつスコア改善、運動耐容性の向上につながることがわかった。

論文詳細　

原文の要約 :

We used a psychological treatment package (education, relaxation, breathing training, graded exposure to activity and exercise, and challenging automatic thoughts about heart disease) to treat 60 patients who had continuing chest pain despite cardiological reassurance following haemodynamically norm...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

正常冠動脈症候群における胸痛に対する集団心理療法

循環器系の疾患において、正常冠動脈症候群は、心臓の血管に異常がないにもかかわらず胸痛を訴える、難しい症例です。この研究は、正常冠動脈症候群で胸痛が続く60人の患者さんを対象に、集団心理療法の効果を調べました。この療法では、教育、リラクゼーション、呼吸訓練、活動と運動の段階的暴露、心臓病に関する自動思考への挑戦などを組み合わせたプログラムを提供しました。患者さんは胸痛の発作頻度と硝酸薬の使用状況を毎日記録し、不安、抑うつ、障害を評価するために質問票を使用しました。また、トレッドミル心電図検査で運動耐性を評価し、呼気分析で過換気を評価しました。結果、治療群では胸痛の発作頻度が有意に減少し（p < 0.01）、不安と抑うつスコア、障害評価、運動耐性も有意に改善しました（p < 0.05）。これらの改善は6か月後のフォローアップでも維持されました。治療により、過換気の有病率は54％から34％に低下しました（p < 0.01）が、心電図陽性運動検査の有病率は低下しませんでした。胸痛を心臓病のせいだと考え続ける患者さんは、予後が悪化する傾向がありました。非心臓性胸痛に対する集団心理療法は、実現可能であり、痛み、心理的病態、障害を軽減し、運動耐性を改善する可能性があります。

集団心理療法は胸痛を軽減

正常冠動脈症候群の患者さんは、心臓の血管に異常がないにもかかわらず、胸痛に悩まされています。この研究では、集団心理療法が胸痛の軽減に有効であることが示されました。胸痛の発作頻度が大幅に減少し、不安や抑うつといった心理的な症状も改善した点は、注目すべき結果です。さらに、運動耐性が向上したことも、生活の質向上に繋がる重要な成果です。

正常冠動脈症候群の患者さんへのアドバイス

正常冠動脈症候群の患者さんは、胸痛の原因が分からず不安を感じることが多いですが、集団心理療法は、その不安を軽減し、痛みをコントロールするための有効な手段です。この研究では、胸痛を心臓病のせいだと考え続ける患者さんは、予後が悪化する傾向があることが示されています。そのため、心理的な要因を理解し、適切な対処法を身につけることが重要です。医師に相談し、自分に合った治療法を見つけるようにしましょう。

ラクダ博士の結論

砂漠を旅するラクダは、厳しい環境の中で様々な困難に直面します。正常冠動脈症候群の患者さんも、胸痛という困難に苦しんでいます。本研究は、集団心理療法が、その困難を克服するための有効な手段となり得ることを示唆しています。ラクダ博士は、今後も様々な知識を吸収し、患者さんの苦しみを和らげる方法を探求し続けます。