非定型抗精神病薬ジプラシドンは、ハロペリドールとは異なり、ラットの逆転学習タスクにおけるフェンシクリジン誘発の認知障害を改善する

著者: Abdul-MonimZ, NeillJ C, ReynoldsG P

原題: The atypical antipsychotic ziprasidone, but not haloperidol, improves phencyclidine-induced cognitive deficits in a reversal learning task in the rat.

概要

本研究では、フェンシクリジン（PCP）がラットに選択的な逆転学習障害を誘発し、ジプラシドンによる治療では改善が見られたが、ハロペリドールによる治療では改善が見られなかったことがわかった。隔離飼育は、試験のパフォーマンスまたはPCPによって生じる欠損に影響を与えなかった。本研究は、PCPが統合失調症に関連する認知機能障害の妥当なモデルとなり得ることを示唆している。

論文詳細　

原文の要約 :

The glutamate/N-methyl-D-aspartate receptor antagonist phencyclidine (PCP) has been shown to induce both positive and negative symptoms of schizophrenia, as well as cognitive deficits, thus providing a relatively valid model of psychosis. Isolation rearing from weaning in the rat has been proposed a...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

ジプラシドンは、幻覚剤による認知障害を改善する！？

フェンサイクリジン（PCP）は、幻覚作用を持つ薬物です。PCPは、統合失調症の症状を再現する効果があることから、統合失調症の研究に広く用いられています。今回の研究では、ジプラシドンという抗精神病薬が、PCPによる認知障害を改善する効果があることを示しました。

ジプラシドンは、PCPによる認知障害を改善

今回の研究では、ラットを用いて、PCPによる認知障害を調べました。その結果、ジプラシドンを投与したラットは、PCPを投与したラットに比べて、認知機能が改善したことがわかりました。一方、ハロペリドールという別の抗精神病薬では、PCPによる認知障害の改善効果は見られませんでした。

健康への影響と生活への応用

ジプラシドンは、統合失調症の治療に効果的な薬剤です。今回の研究結果は、ジプラシドンが、統合失調症に伴う認知障害の改善にも有効である可能性を示唆しています。しかし、この研究は、ラットを用いた実験であり、人間での効果はまだ確認されていません。そのため、ジプラシドンが統合失調症に伴う認知障害の改善に有効であることを確認するためには、さらなる研究が必要です。