Intracellular disposition and metabolic effects of zidovudine, stavudine and four protease inhibitors in cultured adipocytes.

著者: BackDavid J, HoggardPatrick G, JannehOmar, JonesSimon P, KhooSaye H, MaherBridget, PirmohamedMunir, TjiaJohn F

原題: Intracellular disposition and metabolic effects of zidovudine, stavudine and four protease inhibitors in cultured adipocytes.

概要

本研究では、HIVプロテアーゼ阻害薬（PI）とヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬（NRTI）が、脂肪細胞の代謝と生存率に与える影響を調べた。研究の結果、PIは脂肪細胞に蓄積し、細胞毒性を示し、脂肪形成を阻害し、脂肪分解を増加させ、前脂肪細胞のタンパク質合成を阻害した。PIは、グルコース取り込みも阻害した。対照的に、NRTIは細胞毒性を示さず、脂肪細胞の代謝にも影響を与えなかったが、PIとの併用におけるNRTIの影響については、さらなる調査が必要である。

論文詳細　

原文の要約 :

OBJECTIVE: The pathogenesis of lipodystrophy caused by the HIV protease inhibitors (PIs) and nucleoside reverse transcriptase inhibitors (NRTIs) is unclear. We have investigated the disposition of these drugs in adipocytes and the consequent effect on adipocyte metabolism and viability. DESIGN: Lab...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

培養脂肪細胞におけるジドブジン、スタブジン、および4種類のプロテアーゼ阻害剤の細胞内分布と代謝効果

HIVプロテアーゼ阻害剤（PI）とヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤（NRTI）によって引き起こされる脂肪異栄養症の発症機序は不明です。そこで、これらの薬物の脂肪細胞への分布とその結果としての脂肪細胞代謝と生存率への影響を調査しました。

プロテアーゼ阻害剤は脂肪細胞の代謝に影響を与える可能性

この研究では、3T3-L1と3T3-F442Aという2つのマウス細胞株を用いて、HIV治療薬が脂肪細胞に与える影響を調べました。その結果、NRTIは脂肪細胞に蓄積し、リン酸化されてそのリン酸化代謝物に変換されることがわかりました。しかし、NRTIは細胞毒性を示さず、前脂肪細胞のタンパク質合成を阻害せず、脂肪生成を阻害したり、脂肪分解を誘導したりもしませんでした。一方、PIは脂肪細胞に蓄積し、その細胞毒性、脂肪生成阻害、脂肪分解促進、前脂肪細胞のタンパク質合成阻害などの効果を示しました。さらに、PIはグルコース取り込みを阻害しました。これらのデータは、PIがグルコース取り込み、脂肪生成、脂肪分解に影響を与えることで、脂肪異栄養症に見られるインスリン抵抗性に役割を果たしている可能性を示唆しています。

脂肪異栄養症の発症機序

この研究は、HIV治療薬が脂肪細胞に蓄積し、代謝に影響を与える可能性を示唆しています。まるで、砂漠のラクダが、厳しい環境の中で、水を求めて歩き続けるように、私たちの体も、様々な影響を受けながら、生命活動を維持しています。脂肪異栄養症は、HIV治療薬が脂肪細胞に与える影響の一例です。医師は、患者の状態を総合的に判断し、治療薬のメリットとリスクを慎重に評価する必要があります。