多嚢胞性卵巣症候群の女性におけるIVF/ICSI前のメトホルミン治療；前向き、ランダム化、二重盲検試験.

著者: CarlsenS M, KjøtrødS B, von DüringV

原題: Metformin treatment before IVF/ICSI in women with polycystic ovary syndrome; a prospective, randomized, double blind study.

概要

IVF刺激前のメトホルミン前処置は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の全体的な臨床的転帰を改善しなかった。しかし、PCOSの正常体重の女性では、メトホルミン前処置は妊娠率を改善する傾向がある。

論文詳細　

原文の要約 :

BACKGROUND: Our aim was to investigate the effect of pre-treatment with metformin in women with polycystic ovary syndrome (PCOS) scheduled for IVF stimulation. METHODS: Seventy-three oligo/amenorrhoeic women with polycystic ovaries and at least one of the following criteria: hyperandrogenaemia, ele...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)におけるメトホルミン治療の効果：体外受精への影響

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、女性ホルモンの異常やインスリン抵抗性などが原因で起こる疾患です。この研究は、PCOS患者における体外受精(IVF)の成功率に対するメトホルミン治療の効果を調べました。

研究の結果、メトホルミンは、PCOS患者全体では、IVFの成功率を向上させる効果は認められませんでした。しかし、正常体重のPCOS患者(BMI<28kg/m2)においては、メトホルミンはIVFの妊娠率を有意に向上させる効果が見られました。メトホルミンは、インスリン抵抗性を改善し、卵子の質を向上させることで、妊娠率の向上に貢献すると考えられます。

メトホルミンはPCOSの治療に有効

メトホルミンは、正常体重のPCOS患者において、IVFの妊娠率を有意に向上させる効果が見られました。これは、メトホルミンがインスリン抵抗性を改善し、卵子の質を向上させることで、妊娠率の向上に貢献していると考えられます。ラクダが厳しい砂漠環境で生き抜くために水分を効率的に利用するように、メトホルミンはPCOS患者が妊娠しやすい体作りをサポートします。

生活習慣の改善も重要

メトホルミンは、PCOSの治療に有効な薬剤ですが、生活習慣の改善も非常に大切です。食事療法や運動療法などを行い、適切な体重を維持することが、妊娠率の向上につながります。ラクダが砂漠で食料を探し、水分を補給するように、PCOS患者は健康的な生活習慣を心がける必要があります。

ラクダ博士の結論

今回の研究は、メトホルミンが正常体重のPCOS患者におけるIVFの妊娠率を向上させる可能性を示しました。ただし、PCOS患者全体では、メトホルミンはIVFの成功率を向上させる効果は認められませんでした。メトホルミンは、PCOSの治療に有効な薬剤ですが、生活習慣の改善も非常に大切です。今後も、メトホルミンの効果に関する研究を継続することで、より多くのPCOS患者が妊娠できるようになることを期待しています。