高血圧患者のニトレンジピンとの比較におけるアムロジピン：作用開始と関連した忍容性への影響

著者: BorgesE T, ChristelerP, Guillaume-GentilM, HollensteinU, MannhartM, WaeberB

原題: Amlodipine compared to nitrendipine in hypertensive patients: the effects on toleration in relationship to the onset of action.

概要

アムロジピンとニトレンジピンは、どちらもカルシウム拮抗薬であり、軽度から中等度の本態性高血圧患者の血圧を下げる効果があります。治療効果は同等ですが、アムロジピンは作用開始が遅いため、急性副作用が少なく、患者コンプライアンスが向上する可能性があります。

論文詳細　

原文の要約 :

Amlodipine and nitrendipine are calcium antagonists of the 1,4-dihydropyridine group which differ in their pharmacokinetic and pharmacodynamic properties. The clinical relevance of these differences was investigated in a study designed to compare the efficacy and safety of once-daily amlodipine (5 m...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

高血圧治療におけるカルシウム拮抗薬の比較

アムロジピンとニトレンジピンは、共にカルシウム拮抗薬ですが、薬物動態や薬力学が異なります。この研究では、軽度から中等度の本態性高血圧患者における、アムロジピンとニトレンジピンの有効性と安全性を比較しました。

アムロジピンとニトレンジピンの比較

研究の結果、アムロジピンとニトレンジピンは、4週間の治療後、血圧を同程度に低下させました。しかし、アムロジピンの降圧効果の発現は緩徐でしたが、ニトレンジピンは初回投与後から効果が現れ、治療終了時にはアムロジピンと同程度の降圧効果を示しました。アムロジピンでは心拍数に有意な変化はありませんでしたが、ニトレンジピンでは初回投与後6時間まで心拍数が有意に増加しました。アムロジピンは、ニトレンジピンと比較して、治療開始時の血管拡張に伴う副作用（頭痛、ほてり、頻脈）の発症率が有意に低かったことがわかりました。これは、アムロジピンがニトレンジピンよりも降圧効果の発現が緩徐であるためと考えられます。

高血圧治療における薬剤選択

アムロジピンとニトレンジピンは、治療効果が同程度である一方で、薬物動態や副作用のプロファイルが異なります。アムロジピンは、ニトレンジピンと比較して、治療開始時の副作用が少ないため、特に急性の副作用に配慮する必要がある患者に適していると考えられます。

ラクダ博士の結論

砂漠の旅では、ラクダはゆっくりと、しかし確実に目的地を目指します。アムロジピンは、ラクダのように、ゆっくりと確実に降圧効果を発揮します。一方、ニトレンジピンは、急いで砂丘を駆け上がるように、即効性のある降圧効果を示します。高血圧治療においては、ラクダのようにゆっくりと、確実に効果を発揮するアムロジピンが、患者のQOL(生活の質)をより向上させる可能性があります。