双極性障害の精神療法：対照研究の系統的レビュー

著者: HautzingerM, MeyerT D

原題: [Psychotherapy for bipolar disorder : a systematic review of controlled studies].

概要

気分安定薬は、双極性障害の再発を予防するのに役立ちますが、ほとんどの患者は、薬剤を服用していても、再発を経験します。病気に関する教育、症状の監視、対処法に焦点を当てた、心理療法を追加することで、有望な結果が得られるようです。研究のレビューによると、心理療法を気分安定薬と組み合わせると、うつ病の症状が改善され (躁状態の症状はそれほどではありませんでしたが)、エピソード間の期間がほぼ 2 倍になりました。誰が最も恩恵を受けるのか、治療はどのくらいの期間続けるべきか、成功した治療法の重要な要素、長期的なフォローアップ、高リスクのグループにおける双極性障害の予防などについて、さらなる研究が必要です。

論文詳細　

原文の要約 :

Mood stabilisers show convincing evidence of relapse prevention in patients suffering from bipolar affective disorder. However, despite continuous medication the majority of patients suffer from relapses. It seems logical to apply principles of psychological intervention to bipolar patients. Element...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

双極性障害に対する精神療法：対照研究の系統的レビュー

双極性障害は、躁状態と鬱状態を繰り返す精神疾患であり、患者さんの生活の質を大きく損なう可能性があります。双極性障害の治療には、気分安定薬が有効ですが、薬物療法だけでは再発を完全に防ぐことはできません。そこで、精神療法が双極性障害の治療に役立つ可能性が注目されています。本研究は、双極性障害に対する精神療法の効果を評価するために、対照研究を対象とした系統的レビューを実施しました。 PubMedデータベースを検索し、1966年～2006年までの論文を対象に、双極性障害に対する精神療法の効果を評価した対照研究を抽出しました。その結果、2294人の患者を対象とした28件の研究が抽出されました。

精神療法の効果と今後の課題

本研究の結果は、気分安定薬と併用した精神療法は、双極性障害の症状の改善、特に抑うつ症状の改善に有効であることを示唆しています。また、精神療法は、気分安定薬単独療法と比較して、エピソード間の期間を長くする効果も示唆されました。しかし、精神療法の有効性を判断するためには、さらに多くの研究が必要となります。特に、精神療法の成功要因、治療期間や強度、効果的な介入要素、長期的な経過、高リスク群における予防効果などについて、さらなる研究が必要です。

双極性障害の治療における精神療法の重要性

精神療法は、双極性障害の治療において、薬物療法と並んで重要な役割を果たす可能性があります。本研究は、精神療法が双極性障害の症状改善や再発予防に有効であることを示唆しています。双極性障害の患者さんは、薬物療法に加えて、精神療法も選択肢として検討することが重要です。

ラクダ博士の結論

砂漠の旅は過酷で、時には迷い道に迷い込むこともあります。双極性障害も、まさに砂漠の旅のようなもので、躁状態と鬱状態を繰り返すことから、患者さんの生活は不安定になりがちです。精神療法は、砂漠の旅人に道案内をするような役割を果たし、患者さんが安定した生活を送れるようサポートします。しかし、精神療法の効果は、患者さんによって異なり、砂漠の道はそれぞれ違います。ラクダ博士は、今後も精神療法の研究が進み、砂漠の旅人が安心して旅を続けられるような道標となることを期待しています。