心臓肺バイパス後の患者における、ε-アミノカプロン酸とアプロチニンがマトリックスメタロプロテアーゼの放出に与える差別の影響

著者: BottaDon, DormanBruce H, IkonomidisJohn S, LeonardiAmy H, SpinaleFrancis G, StroudRobert E, WyckoffMichael M, ZellnerJames L

原題: Differential effects of epsilon-aminocaproic acid and aprotinin on matrix metalloproteinase release in patients following cardiopulmonary bypass.

概要

心房手術中の出血を制御するために使用される2つの薬剤であるアプロチニンとイプシロンアミノカプロン酸（EACA）の効果を比較した研究では、EACAはアプロチニンよりも炎症マーカーのレベルを上昇させたことが判明しました。

論文詳細　

原文の要約 :

This study examined whether differential effects of 2 agents commonly used for hemostatic purposes during cardiac surgery, aprotinin and epsilon-aminocaproic acid (EACA), exist with respect to elevations in proinflammatory interleukins (ILs) and matrix metalloproteinases (MMPs) in patients undergoin...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

心臓血管バイパス手術におけるアプロチニンとε-アミノカプロン酸の異なる効果

心臓血管バイパス手術では、止血剤としてアプロチニンとε-アミノカプロン酸 (EACA) がよく用いられます。本研究では、これらの止血剤が、心臓血管バイパス手術を受けた患者における炎症性サイトカインとマトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) の上昇にどのような影響を与えるのかを調べました。

研究の結果、アプロチニンとEACAは、炎症性サイトカインとMMPの上昇に異なる影響を与えることがわかりました。EACA群では、手術後にIL-6とMMP-8、MMP-9の上昇が見られました。一方、アプロチニン群では、IL-6の上昇は手術後6時間後にのみ見られました。これらの結果から、アプロチニンとEACAは、止血効果とは別に、異なる作用機序を持つことが示唆されました。

アプロチニンとEACAは異なる作用機序

アプロチニンとEACAは、止血効果に加えて、異なる作用機序を持つことがわかりました。EACAは、炎症性サイトカインとMMPの上昇を促進する可能性があります。一方、アプロチニンは、炎症性サイトカインの上昇を抑制する可能性があります。

心臓血管バイパス手術では止血剤の選択が重要

心臓血管バイパス手術では、止血剤の選択が重要です。アプロチニンとEACAは、どちらも止血効果がありますが、炎症性サイトカインとMMPの上昇に異なる影響を与えます。医師は、患者の状態に合わせて、適切な止血剤を選択する必要があります。

ラクダ博士の結論

心臓血管バイパス手術では、止血剤の選択が患者の回復に大きな影響を与えることがわかりました。アプロチニンとEACAは、止血効果に加えて、炎症反応にも異なる影響を与えるため、医師は患者の状態に合わせて適切な止血剤を選択する必要があるでしょう。止血剤の選択は、手術後の経過に大きな影響を与えるため、医師との相談が大切です。