樹状細胞を指標として用いた、ストッパーからの抽出物と溶出物の免疫刺激の可能性の評価

著者: KarleAnette, KropshoferHarald, MaederKarsten, MahlerHanns-Christian, MuellerRobert, RossAlfred, VogtAnne

原題: Evaluation of the immuno-stimulatory potential of stopper extractables and leachables by using dendritic cells as readout.

概要

この研究では、医薬品ストッパーからの抽出物と溶出物が、樹状細胞（免疫細胞の一種）に対する「危険信号」として作用する可能性について調査した。この研究では、ストッパー抽出物は、抽出または溶出条件下では樹状細胞に対する危険信号として作用しなかった。しかし、オレイン酸とその副産物など、ポリソルベート80の分解産物は、これらの免疫細胞を刺激する可能性があることがわかったが、それは非常に加速された条件（100℃で4日間）下でのみであった。この分解はリアルタイムの条件下では観察されなかったため、著者は、この研究結果が、臨床診療におけるポリソルベート含有製剤の安全性に直接的な影響を与えると考えていない。

論文詳細　

原文の要約 :

Recombinant protein pharmaceuticals may bear some risks and undesirable side effects, such as the appearance of immunogenic reactions. The increased incidence of antibody-mediated pure red cell aplasia (PRCA) outside the United States after administration of a human serum albumin (HSA)-free EPREX (r...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

樹状細胞を用いたストッパー抽出物およびリーチャブルの免疫刺激の可能性の評価

組換えタンパク質製剤は、免疫反応の出現など、いくつかのリスクと望ましくない副作用を伴う可能性があります。米国以外では、ヒト血清アルブミン（HSA）を含まないEPREX（組換えヒトエリスロポエチンアルファ）製剤の投与後に、抗体媒介性純粋赤血球無形成（PRCA）の発生率が増加したことが報告されており、これはゴム栓に関連するリーチャブルが免疫原性アジュバントとして作用した可能性が示唆されています。本研究では、樹状細胞アッセイを用いて、3種類の異なる医薬品関連ストッパーの抽出物およびリーチャブルが、樹状細胞に「危険信号」を発生させる可能性を調査しました。

ストッパーの抽出物やリーチャブルは樹状細胞に危険信号を送らないことが判明

さらに、調査した抽出物およびリーチャブルは、NMRとミセルベースのポリソルベート定量法によって特徴付けられました。要約すると、抽出またはリーチング条件によって生成されたストッパー抽出物は、樹状細胞にとって危険信号としては作用しないことが示されました。代わりに、ポリソルベート80の分解産物、オレイン酸、およびその後の産物は、非常に加速された条件（100℃で4日間）でのみ発生し、これらの免疫細胞の潜在的な刺激因子として機能することが判明しました。しかし、この分解はリアルタイムでは発生しなかったため、著者は、この発見が、臨床現場におけるポリソルベートを含む製剤の直接的な安全性に関連すると考えていません。

ストッパー由来の物質が免疫反応を引き起こす可能性

この研究は、ゴム栓に関連するリーチャブルが、樹状細胞に「危険信号」を発生させる可能性があることを示唆しています。樹状細胞は、免疫系の中心的な役割を果たす細胞であり、感染や腫瘍などの危険信号を認識して、免疫応答を開始します。そのため、ゴム栓に関連するリーチャブルが、樹状細胞を活性化し、免疫反応を引き起こす可能性があります。

ラクダ博士の結論

ゴム栓に関連するリーチャブルは、砂漠の蜃気楼のように、存在するのかしないのかわからない物質ですが、免疫反応を引き起こす可能性があることがわかりました。この研究は、医薬品関連の素材が、人間の体にどのような影響を与えるのか、という重要な問題提起をしています。今後、医薬品関連素材の安全性についての研究がさらに進むことが期待されます。