リスペリドンで治療された統合失調症患者の、薬物誘発性運動副作用を監視するための、筆跡運動分析

著者: CaligiuriMichael P, DeanCharles E, LohrJames, NiculescuAlexander B, TeulingsHans-Leo

原題: Handwriting movement analyses for monitoring drug-induced motor side effects in schizophrenia patients treated with risperidone.

概要

本研究では、筆記運動学の量的分析を用いて、統合失調症患者における抗精神病薬の種類と用量の影響を評価した。リスパレドン投与群では、健常者または未治療者と比較して、筆記運動がより流暢でなく、用量が高いほど流暢性が低下した。筆記に基づく尺度は、薬物治療を受けている統合失調症患者における錐体外路症状（EPS）をモニタリングするために重要である。

論文詳細　

原文の要約 :

Epidemiologic studies indicate that nearly 60% of schizophrenia (SZ) patients treated with conventional antipsychotic drugs develop extrapyramidal side effects (EPS) such as parkinsonism and tardive dyskinesia. Although the prevalence of EPS has decreased due to the newer antipsychotics, EPS continu...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

リスパダールによる精神分裂病患者の薬物誘発性運動障害のモニタリング

精神医学分野において、精神分裂病（SZ）患者の薬物誘発性運動障害（EPS）のモニタリングは重要な課題です。本研究では、患者の手書き運動を定量的に分析することで、リスパダールによるEPSの早期発見と治療効果の評価を可能にする新しい方法を提案しています。

手書き運動分析によるEPSの評価

リスパダールを投与されたSZ患者27名、抗精神病薬を投与されていないSZ患者6名、健常対照群47名に、20分間の筆跡課題を実施しました。課題は、様々な大きさのループと文章を書き、その筆跡運動をMovAlyzeRソフトウェアで分析しました。その結果、リスパダール投与群は、健常群および無治療のSZ患者群と比較して、有意に筆跡運動が不流暢であることが明らかになりました。リスパダール投与群は、単純なループの作成時に、無治療患者群と比較して運動速度が遅くなりました。文章作成時の筆跡の不流暢さは、投与量が増加するにつれて高くなりました。文章作成から得られた運動学的変数からなる3因子モデルは、薬物投与量の83％（r = .91）の変動を説明しました。対照的に、観察者によるEPSの重症度評価と薬物投与量との間に関連は見られませんでした。これらの知見は、リスパダールを投与されたSZ患者におけるEPSをモニタリングするために、筆跡に基づく測定値が重要であることを裏付けています。

健康への影響と生活への応用

リスパダールなどの抗精神病薬は、EPSという副作用を引き起こす可能性があります。EPSは、日常生活に支障をきたす可能性があり、早期発見と治療が重要です。本研究では、手書き運動分析がEPSの早期発見に役立つ可能性を示唆しています。精神分裂病の治療を受けている方は、医師に相談し、定期的にEPSの検査を受けることをお勧めします。

ラクダ博士の結論

砂漠の旅は、過酷で危険なものです。旅の途中で、砂漠の猛暑や嵐に襲われることもあるでしょう。精神分裂病の治療においても、抗精神病薬による副作用に悩まされることがあります。本研究は、砂漠の旅の安全性を高めるための新しい羅針盤のようなものです。手書き運動分析という羅針盤を用いることで、旅の途中で発生する危険を早期に察知し、安全に旅を続けることができるのです。