ラットにおける、オセルタミビルとその活性代謝物Ro 64-0802の脳分布と局在化の発達変化

著者: KakinumaChihaya, KanoTakashi, MatsumotoNoriko, MorimotoKaori, NagamiTakaaki, OgiharaTakuo, WadaSho

原題: Developmental changes of brain distribution and localization of oseltamivir and its active metabolite Ro 64-0802 in rats.

概要

オセルタミビルは、インフルエンザの治療に用いられる薬剤である。この研究では、若いラットの脳におけるオセルタミビルの濃度が、年老いたラットよりもはるかに高いことが判明し、若い患者における精神不安定と自殺傾向というまれな副作用を説明する可能性がある。

論文詳細　

原文の要約 :

Oseltamivir, a prodrug of the neuraminidase inhibitor [3R, 4R, 5S]-4-Acetamide-5-amino-3-(1-ethylpropyl)-1-cyclohexene-1-carboxylate phosphate (Ro 64-0802), is widely used for treatment of influenza infections in Japan, but may be associated with mental instability and suicidal tendencies as a rare ...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

オセルタミビルとRo 64-0802：脳への行き方は年齢で変わる？

オセルタミビルは、インフルエンザ治療薬として広く使われています。しかし、特に乳幼児や若い患者では、精神不安定や自殺傾向といった副作用が起こることがあります。今回は、ラットを用いて、オセルタミビルとその活性代謝物Ro 64-0802の脳への分布と、血液脳関門（BBB）におけるP-糖タンパク質（P-gp）の発現について調べました。

脳への分布は年齢によって大きく異なる

オセルタミビルの脳内濃度は、2週間齢のラットで最も高く、年齢とともに減少しました。一方、Ro 64-0802の脳内濃度は、2週間齢のラットで最も低く、年齢とともに増加しました。オセルタミビルの脳内濃度は、Ro 64-0802の脳内濃度よりも、2週間齢のラットでは70倍、8週間齢のラットでは0.9倍高くなりました。この年齢による分布の違いは、若い患者における神経系の副作用の原因となる可能性があります。

オセルタミビルとRo 64-0802：脳内分布の謎

オセルタミビルは、体内に入るとRo 64-0802に変換されます。Ro 64-0802は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果を持つ薬です。オセルタミビルは、脳への移行が容易で、脳内でRo 64-0802に変換されます。しかし、若いラットでは、オセルタミビルの脳への移行が容易で、脳内濃度がRo 64-0802よりも高くなるため、神経系の副作用が起こりやすくなる可能性があります。オセルタミビルの脳内分布は、年齢によって変化するため、若い患者では、神経系の副作用に注意が必要です。

ラクダ博士の結論

オセルタミビルは、若い患者では、脳への移行が容易で、脳内濃度が高くなるため、神経系の副作用が起こりやすくなる可能性があります。年齢によって脳への分布が異なるため、若い患者では、特に注意が必要です。砂漠で例えるなら、若いラクダは、年老いたラクダよりも、オアシスの水をたくさん吸収する能力があるんですね！だから、若い患者は、オセルタミビルの副作用に注意しなくてはなりません。