注意欠陥多動性障害の子どもの室性不整脈 - 自律神経の不均衡の症状?

著者: BuchhornReiner, ChristianWillaschek

原題: Ventricular arrhythmias in children with attention deficit disorder--a symptom of autonomic imbalance?

概要

注意欠陥多動性障害の子供100人から得られた24時間ホルター心電図のレトロスペクティブ分析の結果、心室副収縮と加速性心室性リズムの発生率が高いことが明らかになった。これらの不整脈は、自律神経のバランスの乱れに関連しており、刺激薬による治療とは関連していなかった。

論文詳細　

原文の要約 :

OBJECTIVES: Potential side effects of stimulants for attention deficit disorder are in the focus of scientific discussions, intensified by the higher number of prescriptions. Children with known arrhythmias or other severe cardiac problems should not receive stimulants because of their sympathomimet...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

注意欠陥多動性障害 (ADHD) の子供における心室性不整脈

ADHDの子供における心室性不整脈は、近年注目されています。ADHDの子供は、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの働きが弱いため、集中力や注意力が低下することがあります。ADHDの治療には、ドーパミンやノルアドレナリンの働きを高める薬剤である興奮剤が用いられます。しかし、興奮剤は心臓への負担が大きいため、心室性不整脈などの心臓病を持つ子供には使用できません。本研究は、100人のADHDの子供を対象に、24時間ホルター心電図を用いて心室性不整脈の発生頻度を調査しました。

ADHDの子供の約1割に心室性不整脈が確認される

調査の結果、100人のADHDの子供のうち9人に心室性不整脈が確認されました。心室性不整脈の多くは、自律神経のバランスが乱れることによって起こることが明らかになりました。自律神経は、心臓の働きを調節する神経系です。ADHDの子供では、自律神経のバランスが乱れやすく、心室性不整脈が起こりやすいと考えられます。特に、興奮剤の投与を受けている子供では、心室性不整脈の発生頻度が高い傾向がありました。しかし、興奮剤の投与が直接的に心室性不整脈の原因となるわけではありません。

ADHDの子供の心室性不整脈は、興奮剤よりも自律神経の乱れが原因

ADHDの子供における心室性不整脈は、興奮剤による副作用ではなく、自律神経の乱れによって起こる可能性が高いことが示されました。そのため、ADHDの子供に対しては、心電図検査を行い、心室性不整脈の有無を調べる必要があります。心室性不整脈が確認された場合は、適切な治療が必要になります。

ラクダ博士の結論

ADHDの子供における心室性不整脈は、興奮剤よりも自律神経の乱れが原因である可能性が高いことが示唆されました。これは、ADHDの子供に対する治療法を考える上で重要な知見です。砂漠のように広大な医療分野において、ADHDの子供たちの心身の健康を守るためには、心電図検査など、適切な検査と治療が必要になります。