エリートアスリートにおける、経静脈鉄剤が有酸素能力と鉄代謝に与える影響

著者: BurdenRichard J, BusbridgeMark, MooreBrian, OttoJames, PedlarCharles R, PollockNoel, RichardsToby, SraiSurjit K, WhyteGregory P

原題: Effect of Intravenous Iron on Aerobic Capacity and Iron Metabolism in Elite Athletes.

概要

鉄欠乏性非貧血性持久系アスリートでは、単回静脈内鉄注射が少なくとも4週間、鉄の状態を改善するのに有効でした。ただし、注射による有酸素能力の改善は見られませんでした。本研究は、急性血管内鉄注射後、ヘプシジン調節における鉄の利用可能性が炎症よりも優勢である可能性を示唆しています。

論文詳細　

原文の要約 :

PURPOSE: Iron-deficient athletes are often treated with long-term, low-dose iron therapy. Such treatments may be efficacious in correcting iron deficiency; however, the effect on acute and chronic iron metabolism and subsequent endurance capacity is less clear. METHODS: Fifteen national and interna...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

エリートアスリートにおける静脈内鉄剤の有酸素能力と鉄代謝への影響

鉄欠乏アスリートは、しばしば長期にわたる低用量鉄療法で治療されます。このような治療法は、鉄欠乏の改善に有効な場合がありますが、急性および慢性鉄代謝への影響とそれに続く持久能力への影響は明確ではありません。本研究では、[鉄欠乏非貧血（IDNA）]である15人の国内および国際標準のランナーを対象に、静脈内鉄剤投与群とプラセボ群に割り当て、それぞれ3回の運動テストを実施しました。運動テストは、[治療前、治療後24時間以内、治療後4週間後]に行われました。

静脈内鉄剤投与はアスリートの鉄代謝を改善するが、有酸素能力は改善しない

研究の結果、[鉄群では、介入後およびプラセボ群と比較して、血清フェリチン、血清鉄、トランスフェリン飽和度が有意に改善しました（P < 0.05）]。ヘプシジンレベルは、鉄注射後、運動の前後において有意に高く（P < 0.05）、これはインターロイキン-6の変化とは無関係でした。赤血球指標、総ヘモグロビン量、V˙O2max、亜最大血中乳酸、ランニングエコノミー、RPE、または疲労までの時間（P > 0.05）に、群間で差はありませんでした。

ラクダ博士の結論

本研究の結果から、[静脈内鉄剤単回投与（500mg）は、少なくとも4週間は鉄の状態を改善する効果がありますが、有酸素能力の改善には繋がりませんでした]。この調査は、[IDNAの持久力アスリート]では、急性血管内鉄剤注射治療後、ヘプシジンの調節において、鉄の利用可能性が炎症よりも重要であることを示唆しています。ラクダ博士も、この研究結果を参考に、砂漠の厳しい環境で生きる人々の健康を維持するために、安全で効果的な鉄剤の開発に貢献したいと考えています。