シェル脱落を誘発する細胞内薬物送達のための、生分解性RAFT-ROP二重ヘッド剤から構築された双性イオン性ナノ粒子

著者: DongAnjie, HuangPingsheng, KongDeling, LiuJianfeng, LiuJinjian, WangWeiwei, ZhangYumin, ZhaoFuli

原題: Zwitterionic nanoparticles constructed from bioreducible RAFT-ROP double head agent for shell shedding triggered intracellular drug delivery.

概要

がん治療のためのナノ医薬品は、しばしば薬物送達に課題を抱えている。この研究は、細胞内で迅速かつ効果的に薬物を放出し、これらの障壁を克服する、新しい生分解性ナノ粒子を開発した。ナノ粒子は、マウスにおいて、遊離薬物と比較して、優れた抗腫瘍活性を示し、毒性が低い。

論文詳細　

原文の要約 :

Nanomedicines have emerged as indispensable platforms for cancer theranostics, however, the therapeutic outcomes were often compromised not only by the multiple biological barriers during the itinerary from the initial injection site to the intracellular action site but also the insufficient drug re...掲載元で要旨全文を確認する

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ナノテクノロジーでがん治療を変える！シェル脱落型ナノ粒子による薬物送達システム

ナノテクノロジーは、がん治療の分野において革新的な進歩を遂げています。しかし、ナノ医薬品は、体内での薬物送達経路の複雑さや、病巣部位への薬物放出の効率の低さといった課題に直面しています。本研究では、がん治療の効率を高めるため、新しいタイプのナノ粒子を開発しました。このナノ粒子は、細胞内での薬物放出を促進するシェル脱落型ナノ粒子です。

本研究では、生体内で還元される二官能性剤を開発しました。この二官能性剤は、RAFT剤と開環重合開始剤をジスルフィド結合で連結したもので、cRGDfK-ポリカルボキシベタインメタクリレート-SS-ポリε-カプロラクトンブロックコポリマー(cRGD-PCSSL)の合成に使用されました。このcRGD-PCSSLを用いて、ドキソルビシン(DOX)を封入したシェル脱落型ナノ粒子(cRGD-PCSSL/DOX NPs)をワンステップで自己組織化させました。このナノ粒子は、グルタチオンなどの還元剤の存在下でPCBシェルが脱落し、DOXを迅速に放出します。フローサイトメトリーと蛍光顕微鏡による解析の結果、cRGD-PCSSL/DOX NPsは、受容体介在性エンドサイトーシスによってHepG2細胞に取り込まれ、細胞内での薬物放出が速やかに起こることが示されました。その結果、遊離DOXと比較して、高い細胞毒性を示しました。

シェル脱落型ナノ粒子：がん治療の未来を拓く

cRGD-PCSSL/DOX NPsは、低いタンパク質吸着性と優れた血清安定性を持ち、血中滞留時間が長く、腫瘍への蓄積効率が高いことが確認されました。腫瘍を移植したマウスにcRGD-PCSSL/DOX NPsを静脈内注射したところ、遊離DOXと比較して、高い抗腫瘍効果と低い全身毒性を示しました。本研究で開発されたシェル脱落型ナノ粒子は、多機能性と複雑さのジレンマを克服し、複数の生体バリアを巧みに回避する画期的なプラットフォームです。このナノ粒子は、がん治療の効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。