ベンゾラミドは、高高度トレッキング中の酸素化を改善し、急性高山病を軽減し、海面におけるアセタゾラミドよりも副作用が少ない

著者: CollierDavid J, FlowerRod J, HedgesAnne-Marie, MilledgeJames S, NathanJohn, SwensonErik R, WolffChris B

原題: Benzolamide improves oxygenation and reduces acute mountain sickness during a high-altitude trek and has fewer side effects than acetazolamide at sea level.

概要

本研究では、エベレストベースキャンプ（5340m）への登山中の急性高山病（AMS）の予防におけるベンゾラミドとプラセボの有効性を、初めてのフィールドスタディで検証した。ベンゾラミド投与群は、動脈血酸素飽和度が維持され、AMSの重症度が軽減された。

論文詳細　

原文の要約 :

Acetazolamide is the standard carbonic anhydrase (CA) inhibitor used for acute mountain sickness (AMS), however some of its undesirable effects are related to intracellular penetrance into many tissues, including across the blood-brain barrier. Benzolamide is a much more hydrophilic inhibitor, which...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

高地病の予防に役立つ新しい薬剤：ベンゾラミド

高地病は、標高の高い場所に移動した際に起こる病気で、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が現れます。現在、高地病の予防薬として広く用いられているのはアセタゾラミドですが、この薬は副作用が強く、特に脳への影響が懸念されています。

本研究では、アセタゾラミドよりも副作用の少ないベンゾラミドという新しい薬剤が、高地病の予防に効果的であるかどうかを調査しました。研究チームは、ネパールにあるエベレストベースキャンプ（標高5340m）への登山中に、ベンゾラミドを投与したグループとプラセボを投与したグループを比較しました。その結果、ベンゾラミドを投与したグループでは、プラセボを投与したグループよりも、高地での酸素飽和度が有意に高く、高地病の症状も軽減されていました。また、ベンゾラミドはアセタゾラミドよりも副作用が少なく、腎臓への影響も同等でした。

ベンゾラミドはアセタゾラミドよりも優れているのか？

これらの結果から、ベンゾラミドは高地病の予防に非常に効果的であることが示唆されました。ベンゾラミドはアセタゾラミドよりも副作用が少なく、高地病の症状と誤認されやすいアセタゾラミドの副作用を抑制できる可能性も考えられます。

高地登山に役立つベンゾラミド

高地登山を計画されている方は、高地病の予防のためにベンゾラミドの使用を検討する価値があるでしょう。ただし、ベンゾラミドは新しい薬剤であり、長期的な安全性についてはまだ十分なデータがありません。ベンゾラミドを使用する際には、必ず医師に相談してください。

ラクダ博士の結論

ベンゾラミドは高地病の予防に有効で、アセタゾラミドよりも副作用が少ない可能性があるという興味深い研究結果ですね。砂漠のような広大な高地では、一歩一歩慎重に進むことが大切です。ベンゾラミドは、高地病という砂漠の嵐から旅人を守る、頼もしい薬となるかもしれません。しかし、新しい薬は未知の側面も持ち合わせています。医師と相談しながら、安全に高地登山を楽しんでくださいね！