[レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 (RAAS) を阻害する薬物の使用における、高カリウム血症は制限因子か？].

著者: MandreoliMarcora, SantoroAntonio

原題: [Hyperkalemia as a limiting factor in the use of drugs that block the Renin Angiotensin Aldosterone System (RAAS)].

概要

この記事は、慢性腎臓病（CKD）患者におけるアンジオテンシン変換酵素（ACE-I）阻害薬とアンジオテンシンII受容体遮断薬（ARB）の使用について論じている。これらの薬剤は血圧を低下させ、CKDの進行を遅らせる有効性が示されているが、特に腎不全の患者では高カリウム血症を引き起こす可能性がある。この記事は、食事療法の変更、利尿薬、カリウム結合剤など、高カリウム血症を回避するための戦略をレビューしている。

論文詳細　

原文の要約 :

Angiotensin-converting enzyme (ACE-I) inhibitors and ARBs have shown real efficacy in reducing blood pressure, proteinuria, in slowing the progression of chronic kidney disease (MRC) and in clinical improvement. in patients with heart failure, diabetes mellitus and ischemic heart disease. However, t...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬による高カリウム血症

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬は、高血圧、蛋白尿、慢性腎臓病の進行抑制、心不全、糖尿病、虚血性心疾患などの患者さんの治療に有効性が認められています。しかし、血清カリウム値の上昇という副作用が懸念されます。特に腎機能が低下している患者さんでは、高カリウム血症が深刻化することがあります。本研究では、エミリア・ロマーニャ地方のPIRPプロジェクトで追跡調査された23,000人の患者さんを対象に、高カリウム血症とRAAS阻害薬の使用との関連性を調べました。その結果、高カリウム血症は、慢性腎臓病のステージが進むにつれて増加することがわかりました。高カリウム血症の治療には、低カリウム食、利尿剤、糞便中カリウム排泄促進薬などが用いられます。近年、高カリウム血症治療薬として、パティロマーとシリカジルコニウムナトリウムが開発されました。これらの薬剤は、長期的な有効性と安全性が実証されれば、RAAS阻害薬との併用が期待されます。

RAAS阻害薬使用時の高カリウム血症への対策

RAAS阻害薬は、血圧を下げる効果が高い一方、高カリウム血症を引き起こす可能性もあります。高カリウム血症は、重症化すると心臓に負担がかかり、不整脈や心停止を引き起こす可能性があります。そのため、RAAS阻害薬を使用する際には、定期的に血清カリウム値を測定することが重要です。高カリウム血症が認められた場合は、医師に相談し、適切な治療を受けてください。

高カリウム血症と日常生活

高カリウム血症は、食事療法で改善できる場合があります。カリウムを多く含む食品の摂取を控えることが大切です。カリウムを多く含む食品には、バナナ、ほうれん草、きのこなどがあります。また、水分を十分に摂取することも重要です。水分不足は、高カリウム血症のリスクを高めます。高カリウム血症が気になる方は、医師に相談し、適切なアドバイスを受けてください。

ラクダ博士の結論

RAAS阻害薬は、様々な疾患の治療に役立ちますが、高カリウム血症を引き起こすリスクがあることを理解しておく必要があります。砂漠のラクダは、水分不足に耐えるために、体内に水分を蓄えますが、同時にカリウムも蓄積します。人間の体でも、腎臓の機能が低下すると、カリウムが体内に蓄積しやすくなります。RAAS阻害薬を使用する際には、高カリウム血症のリスクを認識し、適切な対策を講じるようにしましょう。