パーキンソン病モデルマウスにおける、L-ドーパ誘発性ジスキネジアに対するゾニサミドの影響

著者: NambuAtsushi, SanoHiromi

原題: The effects of zonisamide on L-DOPA-induced dyskinesia in Parkinson's disease model mice.

概要

この研究では、パーキンソン病（PD）のマウスモデルにおいて、ゾニサミドがL-ドーパ誘発ジスキネジアに与える影響を調査しました。ゾニサミドはジスキネジアを悪化させ、黒質網様体部のニューロン活動を変化させました。これは、基底核の機能を調節する潜在的な役割を示唆しています。

論文詳細　

原文の要約 :

Parkinson's disease (PD) is a neurodegenerative disorder caused by the loss of dopaminergic neurons in the midbrain and shows motor dysfunctions. Zonisamide (ZNS, 1,2-benzisoxazole-3-methanesulfonamide), which was originally developed as an antiepileptic drug, was also found to have beneficial effec...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

ゾニサミドがパーキンソン病モデルマウスのL-DOPA誘発性ジスキネジアに及ぼす影響

パーキンソン病（PD）は、中脳のドーパミン神経細胞の喪失によって引き起こされる神経変性疾患であり、運動機能の障害を示します。ゾニサミド（ZNS、1,2-ベンゾイソキサゾール-3-メタンスルホンアミド）は、当初は抗てんかん薬として開発されましたが、PDの運動症状に有益な効果があることも発見されました。本研究では、PDモデルマウスにおけるL-DOPA誘発性ジスキネジア（LID）に対するZNSの行動学的および生理学的影響を調査しました。PDモデルマウスにL-DOPAとZNSを慢性的に投与すると、L-DOPAのみを投与したPDモデルマウスと比較して、LIDの持続時間と重症度が増加することが示されました。ZNSがLIDに及ぼす影響の神経機構を解明するために、私たちは基底核の出力核、すなわち黒質網様体部（SNr）の神経活動を調べました。PDマウスにL-DOPAとZNSを慢性的に投与すると、SNrの活動発火率が低下し、同時に明らかなLIDを示しました。さらに、PDマウスにL-DOPAとZNSを慢性的に投与すると、LID中のSNrにおける皮質誘発応答が変化しました。コントロール状態では、運動皮質刺激は初期の興奮、抑制、後期興奮からなる三相性応答を誘発します。対照的に、L-DOPAとZNSを投与したPDマウスは、抑制が長く、後期興奮が減少しました。以前の研究では、SNrにおける抑制は直接経路に由来し、運動を解放し、後期興奮は間接経路に由来し、運動を停止すると提唱されています。これらの直接経路と間接経路の変化は、ZNSがLIDに及ぼす影響の根底にある可能性があります。

ゾニサミドがパーキンソン病の治療に与える影響とは？

この研究では、ゾニサミドがL-DOPA誘発性ジスキネジア（LID）を悪化させる可能性があることが示されました。LIDは、パーキンソン病の治療薬であるL-DOPAの長期使用によって引き起こされる不随意運動の一種です。ゾニサミドは、LIDを悪化させる可能性があるため、パーキンソン病の治療には注意が必要です。ゾニサミドは、脳の特定の部位の神経活動を変化させることで、LIDを引き起こす可能性があります。この研究結果は、ゾニサミドがパーキンソン病の治療に適していない可能性を示唆しています。ゾニサミドの投与は、パーキンソン病の治療に携わる医師と相談して、慎重に判断する必要があります。

パーキンソン病の治療に関するラクダ博士からのメッセージ

パーキンソン病の治療は、砂漠のオアシスを探すようなものですね。なかなか見つからないけど、諦めずに探し続けなければなりません。ゾニサミドは、最初は希望の光のように見えたかもしれませんが、この研究結果を見る限り、思わぬ落とし穴があるのかもしれません。パーキンソン病の治療には、様々な薬剤があり、それぞれに長所と短所があります。自分の体に合った治療法を見つけることが重要です。医師と相談して、最適な治療法を見つけてください。