ブルガダフェノコピー：三環系抗うつ薬の過量摂取による、持続性室性頻脈の症例

著者: LiaoSteve Lin, OteroDiana, PetrovicMarija

原題: Brugada Phenocopy: A Case of Incessant Ventricular Tachycardia in a Patient with Tricyclic Antidepressant Overdose.

概要

34歳の女性は、自宅でけいれんした後、心室頻拍（VT）による心臓停止を経験しました。心電図では、ブルガダ現象模倣（BrP）パターンが認められ、その後、ノルトリプチリン中毒が原因であることが確認されました。静脈内炭酸水素ナトリウムの投与により、BrPは解消され、患者は完全に回復しました。この症例は、心臓ナトリウムチャネルを阻害する薬物による中毒が、そうでなければ正常な個人でBrPを引き起こす可能性があることを強調しています。

論文詳細　

原文の要約 :

Brugada electrocardiographic pattern, or Brugada phenocopy (BrP), can be found in conditions other than Brugada syndrome. We present the case of a 34-year-old woman who was found convulsing at home followed by ventricular tachycardia (VT) cardiac arrest upon arrival to the emergency department. Elec...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

Brugada型心電図：トリシクリック系抗うつ薬過量摂取による偽陽性

Brugada症候群は、心室細動のリスクが高い遺伝性疾患であり、特徴的な心電図パターンを示します。しかし、Brugada型心電図は、Brugada症候群以外の病態でも観察されることがあります。本研究では、トリシクリック系抗うつ薬であるノルトリプチリンの過量摂取によってBrugada型心電図が見られた症例が報告されています。

34歳の女性が、自宅で意識不明の状態で発見され、救急搬送されました。病院到着時には心室頻拍による心停止を起こしていました。電気的除細動によって蘇生し、アミオダロンの静脈内投与が開始されました。その後、患者は心室頻拍による心停止を4回経験し、電気的除細動によって蘇生しました。心電図検査では、Brugada型心電図パターンが認められました。さらに調査の結果、患者の自宅からノルトリプチリンの空瓶が見つかり、血清中のノルトリプチリン濃度が1581 ng/mLと高値を示しました。静脈内炭酸水素ナトリウムの投与によってBrugada型心電図は消失し、患者は回復しました。

トリシクリック系抗うつ薬の過量摂取に注意

ノルトリプチリンなどの心臓のナトリウムチャネルを阻害する薬物は、Brugada症候群ではない人でもBrugada型心電図を引き起こす可能性があります。ノルトリプチリンなどのトリシクリック系抗うつ薬は、慢性疼痛、うつ病などの治療に使用されますが、用量依存性の副作用があり、過量摂取すると死亡する可能性があります。Brugada型心電図が観察された場合は、トリシクリック系抗うつ薬による中毒を鑑別診断に含める必要があります。

ラクダ博士の結論

Brugada型心電図は、Brugada症候群の診断において重要な指標ですが、他の要因によって偽陽性となる可能性もあります。トリシクリック系抗うつ薬の過量摂取は、Brugada型心電図を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。ラクダ博士は、Brugada型心電図が観察された場合、原因を突き止めるために慎重な評価を行うことの重要性を強調します。