miR-21阻害と特発性肺線維症治療薬の重複効果：ニンテダニブを虚血再灌流損傷の新しい治療法として再利用するための根拠

著者: AimoAlberto, Bayes-GenisAntoni, EgeaOriol I, EmdinMichele

原題: Overlapping Effects of miR-21 Inhibition and Drugs for Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Rationale for Repurposing Nintedanib as a Novel Treatment for Ischemia/Reperfusion Injury.

概要

抗miR-21は、心筋梗塞を患ったブタにおける虚血再灌流障害の有望な治療法である。しかし、臨床応用には限界がある。本研究では、特発性肺線維症の治療に用いられる2つの抗線維化薬であるニンテダニブとピルフェニドンと、抗miR-21の分子効果を比較した。ニンテダニブと抗miR-21は、プロトオンコジーンRous肉腫ウイルスオンコジーン細胞相同体を含む多くの標的を共有している。これは、ニンテダニブが抗miR-21と同様の効果を持つ可能性があり、心筋梗塞の治療薬としての可能性を評価できることを示唆している。

論文詳細　

原文の要約 :

A specific anti-miR-21 has emerged as an effective treatment for ischemia/reperfusion injury in a pig model of myocardial infarction (MI), but the perspectives for clinical translation are limited. Anti-miR-21 blunts profibrotic pathways, whose excessive activation is detrimental in the post-MI sett...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

虚血再灌流傷害に対する新規治療法としてのニンテダニブの転用

特異的な抗miR-21は、心筋梗塞 (MI) のブタモデルにおける虚血再灌流傷害に対する有効な治療法として登場していますが、臨床への移行の可能性は限られています。抗miR-21は、MI後の環境では過剰な活性化が有害となる線維化経路を鈍らせます。

他の適応症に対して承認されている抗線維化薬を転用することは、可能な戦略です。バイオインフォマティクスのアプローチを用いて、抗miR-21と特発性肺線維症に対して承認されている2つの薬物 (ニンテダニブとピルフェニドン) の分子効果を比較しました。ニンテダニブと抗miR-21は、プロトオンコジーンのRous肉腫オンコジーン細胞ホモログを含む多くの標的を共有していることを報告します。逆に、ピルフェニドンと抗miR-21には共通の作用機序がありません。

ニンテダニブは虚血再灌流傷害の治療に有効か

要約すると、ニンテダニブによって活性化される分子機構は、抗miR-21によって誘導されるものと部分的に重複しています。ニンテダニブは、MIに関する動物研究または臨床試験で評価することができます。

ラクダ博士の結論

ラクダ博士は、この研究結果を砂漠のオアシスに例えて説明します。虚血再灌流傷害は、まるで砂漠の旅人が渇きに苦しむように、深刻な問題を引き起こします。抗miR-21は、オアシスのように、傷ついた細胞に潤いを与え、回復を助ける役割を果たします。しかし、抗miR-21の臨床への移行は、まだ課題が多く、ラクダ博士は研究の進展を待ち望んでいます。ニンテダニブなどの薬物が、オアシスの役割を果たし、虚血再灌流傷害に苦しむ人々を救うことを期待しています。