骨髄造血における、コンドロイチン硫酸が、造血細胞と間質微小環境に与える異なる影響

著者: IgarashiMichihiro, IshiguroHajime, IwamaAtsushi, KatagiriTakayuki, KawasakiAsami, KitagawaHiroshi, MasukoMasayoshi, MikamiTadahisa, Nakajima-TakagiYaeko, OshimaMotohiko, SoneHirohito, TanakaTomoyuki, UemuraShun, UshikiTakashi

原題: Distinct effects of chondroitin sulfate on hematopoietic cells and the stromal microenvironment in bone marrow hematopoiesis.

概要

本研究では、軟骨硫酸（CS）の造血細胞とニッチ細胞における機能を分析した。その結果、CSは造血細胞と骨髄ニッチで異なる役割を果たすことが明らかになり、これらの構成要素間のクロストークが骨髄の恒常性を維持するために重要であることを示している。

論文詳細　

原文の要約 :

The bone marrow (BM) microenvironment, known as the BM niche, regulates hematopoiesis but is also affected by interactions with hematopoietic cells. Recent evidence indicates that extracellular matrix components are involved in these interactions. Chondroitin sulfate (CS), a glycosaminoglycan, is a ...掲載元で要旨全文を確認する

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コンドロイチン硫酸は、骨髄造血における造血細胞と間質微小環境に異なる影響を与える

骨髄は、血液細胞の産生が行われる重要な器官です。コンドロイチン硫酸は、骨髄の細胞外マトリックスの重要な構成成分です。しかし、コンドロイチン硫酸が造血にどのような役割を果たしているのかは、まだ完全には解明されていません。本研究では、コンドロイチン硫酸が造血細胞と骨髄の間質微小環境に異なる影響を与えることを明らかにしました。コンドロイチン硫酸の合成に関わる酵素CSGalNAcT1は、造血幹細胞や前駆細胞、血管内皮細胞で高度に発現していましたが、間葉系幹細胞では発現していませんでした。このことから、コンドロイチン硫酸は、造血細胞と骨髄の間質微小環境の相互作用に重要な役割を果たしていると考えられます。

コンドロイチン硫酸は、造血細胞の増殖と分化を調節する可能性がある

コンドロイチン硫酸は、造血幹細胞や前駆細胞の増殖と分化を調節する可能性があります。コンドロイチン硫酸の合成に関わる酵素CSGalNAcT1が欠損したマウスでは、造血幹細胞や前駆細胞の数が多かったものの、これらの細胞は正常な骨髄に移植しても正常な血液細胞を産生することができませんでした。この結果は、コンドロイチン硫酸が造血細胞の増殖と分化を正常に調節する役割を果たしていることを示唆しています。

コンドロイチン硫酸は、骨髄の間質微小環境の機能を維持する可能性がある

コンドロイチン硫酸は、骨髄の間質微小環境の機能を維持する役割を果たしている可能性があります。コンドロイチン硫酸の合成に関わる酵素CSGalNAcT1が欠損したマウスでは、造血幹細胞や前駆細胞の移植が正常な骨髄よりも効果的に行われました。この結果は、コンドロイチン硫酸が骨髄の間質微小環境の機能を維持し、造血幹細胞や前駆細胞の移植を促進する役割を果たしている可能性を示唆しています。