長時間作用型吸入トレプロスティニルプロドラッグの生物学の概要

著者: ChapmanRichard W, CorbozMichel R, KonicekDonna M, LiZhili, MalininVladimir S, PerkinsWalter R, PlauntAdam J

原題: An overview of the biology of a long-acting inhaled treprostinil prodrug.

概要

このレポートでは、肺動脈性肺高血圧症（PAH）の治療のための、トレプロスチニルの長効性プロドラッグであるトレプロスチニルパルミチル（TP）の発見と前臨床開発について説明します。ネブライザー吸入懸濁液（TPIS）として製剤化されたTPは、短鎖アルキル鎖TREプロドラッグと比較して、TREへの変換速度が遅く、より長い作用時間を提供することが示されました。

論文詳細　

原文の要約 :

Treprostinil (TRE) is a prostanoid analog pulmonary vasodilator drug marketed with subcutaneous, intravenous (i.v.), oral, and inhaled routes of administration for the treatment of pulmonary arterial hypertension (PAH). Due to its short half-life, TRE requires either continuous infusion or multiple ...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

長時間にわたる効果を持つ吸入型トレプロスチニル前駆薬の生物学

肺動脈性高血圧症（PAH）の治療薬として、トレプロスチニル（TRE）は、皮下、静脈内、経口、吸入など、様々な経路で投与されています。しかし、TREの半減期が短いため、効果が持続せず、頻繁な投与が必要となり、副作用の発生率が高くなるという課題がありました。そこで、TREの利点を維持しながら、副作用を軽減できる長時間にわたる効果を持つ前駆薬が開発されました。本研究では、脂質ナノ粒子（LNP）に封入されたTREエステル前駆薬であるトレプロスチニルパルミチル（TP）の発見と前臨床開発について説明しています。TPは、従来のTRE前駆薬と比較して、体内での分解速度が遅く、活性型TREへの変換がゆっくりと起こるため、長時間にわたる効果が期待できます。また、TPは、肺に高い濃度を維持しながら、血漿中濃度は低く、副作用のリスクを軽減できます。さらに、TPは、従来のTREと比較して、咳などの副作用の発生率が低いことが確認されています。これらの結果は、TPが、PAHの治療薬として有望であることを示唆しています。

トレプロスチニルパルミチルは、肺動脈性高血圧症の治療薬として新たな可能性

この研究は、TPが、従来のTREよりも効果が長く、副作用が少なく、PAHの治療に有効である可能性を示唆しています。TPは、PAHの治療薬として新たな選択肢となる可能性があり、今後臨床試験が進められることが期待されます。また、TPは、肺の炎症や線維化を抑制する効果も示しており、PAH以外の肺疾患の治療薬としても応用できる可能性があります。

ラクダ博士の結論

砂漠の旅では、水筒に水をたっぷり詰め込んで出発します。しかし、長旅の間、水を節約することが大切です。TPは、まさに、少量の水を効率的に使い、長時間水分を維持できる、砂漠の旅に欠かせないアイテムと言えるでしょう。PAHの治療において、TPは、効果を長く維持し、副作用を軽減できる、新たな希望となるかもしれません。今後の研究で、TPが、多くの患者さんの健康に貢献できるようになると信じています。