サイトメガロウイルス感染を伴う肺移植レシピエントにおけるレテルモビル：レトロスペクティブ観察研究

著者: BartonJürgen, BehrJürgen, KaukeTeresa, KepplerOliver T, KneidingerNikolaus, MeiserBruno, MichelSebastian, MilgerKatrin, MunkerDieter, NitschkoHans, VeitTobias, ZollerMichael

原題: Letermovir in lung transplant recipients with cytomegalovirus infection: A retrospective observational study.

概要

レテルモビルは、移植を受けた患者におけるサイトメガロウイルス（CMV）感染症の治療に用いられる新しい抗ウイルス薬である。本研究では、他の治療法に抵抗性または無反応のCMV感染症の治療におけるレテルモビルの有効性を調べた。その結果、レテルモビルは、ほとんどの患者においてCMVウイルス量を減らし、感染を解消するのに有効であることがわかった。しかし、一部の患者ではレテルモビルに対する耐性が出現したことから、薬剤耐性を監視することが重要である。

論文詳細　

原文の要約 :

Letermovir is a new antiviral drug approved for the prophylaxis of CMV infection in allogeneic stem cell transplants. The aim of the study was to assess the therapeutic efficacy of letermovir in difficult to treat CMV infections in lung transplant recipients. All lung transplant recipients between M...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

レテルモビル：肺移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の新たな治療法

レテルモビルは、同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス（CMV）感染症の予防のために承認された、新しい抗ウイルス薬です。この研究では、肺移植患者における治療抵抗性CMV感染症に対するレテルモビルの治療効果を評価することを目的としています。著者らは、2018年3月から2020年8月までの間に、ガンシクロビル抵抗性または難治性CMV感染症に対してレテルモビル治療を受けた肺移植患者28人を対象に、後ろ向き観察研究を行いました。

レテルモビルは有効な治療法か？

結果として、28人の患者のうち15人（53.6％）にCMV疾患が認められました。23人（82.1％）の患者において、迅速な反応が観察され、CMVウイルス量は中央値17日[14-27]後に有意に減少（>1 log10）し、その後、これらの患者の全員でクリアされました。5人（17.9％）の患者は非反応性と分類されました。そのうち3人（60％）の患者で、レテルモビル耐性を付与するCMV UL56ターミネース（UL-56-Gen：C325Y）の変異の発現が認められました。一般的な副作用は軽度で、主に消化器系にみられました。レテルモビル治療開始時には、免疫抑制薬の軽度の調整が必要でした。レテルモビルは、他の介入に加えて、肺移植患者における治療抵抗性CMV感染症に有効でした。しかし、治療に失敗した患者では、レテルモビル耐性を付与する変異が発生する可能性があるため、注意が必要です。

レテルモビル：新たな希望の光

レテルモビルは、肺移植患者におけるCMV感染症の治療に新たな希望をもたらす可能性を秘めています。しかし、レテルモビル耐性については、注意が必要です。ラクダ博士は、この研究が、肺移植患者の治療における重要な進歩につながることを期待しています。

ラクダ博士の結論

この研究は、レテルモビルが肺移植患者における治療抵抗性CMV感染症に有効であることを示唆しています。レテルモビルは、CMV感染症の治療において、大きな可能性を秘めていると考えられます。しかし、レテルモビル耐性については、今後の研究が必要となります。ラクダ博士は、この研究が、肺移植患者だけでなく、様々な患者さんの治療に役立つことを期待しています。