コレステロール官能化DNA/RNAヘテロ二重鎖は、血液脳関門を通過し、げっ歯類の中枢神経系で遺伝子をノックダウンする

著者: ArimuraNaoto, BennettC Frank, DwyerChrissa A, EbiharaSatoe, HaraRintaro Iwata, HirabayashiHideki, IgariTomoko, IharaKensuke, IshiiTakashi, KaburagiHidetoshi, MiyataHaruka, MiyataKanjiro, MiyataKenichi, NagataTetsuya, OhyagiMasaki, PowersBerit, RigoFrank, SethPunit P, UchiharaToshiki, WadaTakeshi, YamamotoSyunsuke, YokotaTakanori, Yoshida-TanakaKie, YoshiokaKotaro

原題: Cholesterol-functionalized DNA/RNA heteroduplexes cross the blood-brain barrier and knock down genes in the rodent CNS.

概要

この研究は、中枢神経系（CNS）における標的遺伝子ノックダウンのためのDNA/RNAヘテロ二重鎖オリゴヌクレオチド（HDO）の可能性を実証しています。コレステロール結合HDOは、血脳関門を効果的に通過し、髄腔内投与を必要とせずに、主要なCNS細胞型で有意な遺伝子抑制を達成します。この知見は、神経疾患に対するASOベースの治療法を開発するための有望なアプローチを提供します。

論文詳細　

原文の要約 :

Achieving regulation of endogenous gene expression in the central nervous system (CNS) with antisense oligonucleotides (ASOs) administered systemically would facilitate the development of ASO-based therapies for neurological diseases. We demonstrate that DNA/RNA heteroduplex oligonucleotides (HDOs) ...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

コレステロール修飾DNA/RNAヘテロ二重鎖は血液脳関門を通過し、げっ歯類の中枢神経系で遺伝子をノックダウンする

アンチセンスオリゴヌクレオチド（ASO）を全身投与して中枢神経系（CNS）の遺伝子発現を調節できれば、神経疾患に対するASOベースの治療法の開発が促進されます。本研究では、RNA鎖の5'末端にコレステロールまたはα-トコフェロールが結合したDNA/RNAヘテロ二重鎖オリゴヌクレオチド（HDO）が、マウスとラットに皮下または静脈内投与後、CNSに到達することを実証しました。HDOは脳、脊髄、末梢組織全体に分布し、CNSにおける4つの標的遺伝子の発現を最大90％抑制しました。一方、コレステロールが結合した一本鎖ASOは、活性は限定的でした。遺伝子ノックダウンは、主要なCNS細胞種で観察され、ニューロンとミクログリア細胞で最も顕著でした。皮下投与または静脈内投与を分割することで、血小板減少症や脳局所壊死などの副作用を軽減することができました。コレステロールが結合したHDOは、血液脳関門をより効果的に通過することで、CNSを標的とするASOの限定的な有効性を克服し、髄腔内投与を必要とせずに、CNSを標的とするASOの限定的な有効性を克服する可能性があります。

コレステロール修飾DNA/RNAヘテロ二重鎖は、神経疾患治療の新たな可能性を拓く

神経疾患の治療法開発において、遺伝子発現を調節することは非常に重要です。本研究は、コレステロール修飾DNA/RNAヘテロ二重鎖が、血液脳関門を通過し、CNSで遺伝子発現を抑制できることを示しています。これは、神経疾患の治療法開発に新たな可能性を拓く重要な発見です。

ラクダ博士の結論

砂漠の厳しい環境では、生き物は様々な方法で環境に適応しています。同様に、神経疾患の治療法開発においても、様々なアプローチが必要となります。この研究は、コレステロール修飾DNA/RNAヘテロ二重鎖が、神経疾患治療の新たな道を開く可能性を示しています。今後の研究では、この技術をさらに発展させ、様々な神経疾患の治療に役立てられるように期待されます。