攻撃性と抗てんかん薬の関連：日本の有害事象報告システム（JADER）データベースを使用した分析

著者: FukudaHitoshi, IshidaTomoaki, JobuKohei, KawadaKei, KawazoeTetsushi, MiyamuraMitsuhiko, MorisawaShumpei, OhtaTsuyoshi, TamuraNaohisa

原題: Association of Aggression and Antiepileptic Drugs: Analysis Using the Japanese Adverse Drug Event Report (JADER) Database.

概要

攻撃性は、抗てんかん薬（AED）の一般的な副作用です。本研究では、日本の医薬品副作用報告データベースのデータを活用して、AEDと攻撃性の関連を調査しました。本研究では、ペラパネル、レベチラセタム、ラコサミド、ラモトリジン、バルプロ酸、カルバマゼピンについて、有意な攻撃性シグナルが認められました。ペラパネルとレベチラセタムを併用した場合も、有意な攻撃性シグナルが認められました。攻撃性は、レベチラセタムで治療を受けた60歳未満の患者でより多く見られました。

論文詳細　

原文の要約 :

Aggression is the most common adverse effect of antiepileptic drugs (AEDs). This study aimed to investigate the association of aggression with AED use. The reporting odds ratio (ROR) from adverse event reports, submitted to the Japanese Adverse Drug Event Report database between 2004 and 2020, was u...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

抗てんかん薬と攻撃性：日本の有害事象報告データベース（JADER）を用いた分析

抗てんかん薬（AED）は、てんかん発作を抑制する効果がある一方で、攻撃性などの副作用を引き起こす可能性があります。本研究は、日本の有害事象報告データベース（JADER）を用いて、AEDの使用と攻撃性の関連性を調査しました。研究チームは、2004年から2020年までのJADERに報告された有害事象データを分析した結果、ペラパネール、レベチラセタム、ラコサミド、ラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピンなどのAEDと攻撃性の関連性を確認しました。特に注目すべき点は、ペラパネールとレベチラセタムの併用療法では、攻撃性のリスクが有意に上昇したことです。

抗てんかん薬の使用に潜むリスク：攻撃性の可能性

研究結果から、一部のAEDの使用は、攻撃性などの精神神経系副作用のリスクを高める可能性があることが示唆されています。特にペラパネール、レベチラセタムなどの薬剤は、攻撃性のリスクが高いと考えられます。AEDを使用する際には、攻撃性の発現に注意し、必要があれば医師に相談することが大切です。特に60歳未満のレベチラセタム使用者では、攻撃性リスクが上昇することが判明しており、年齢層によるリスクの違いも注目されます。

AEDの使用と生活の質：攻撃性への対応

AEDは、てんかん発作から患者さんを解放してくれる重要な薬剤ですが、攻撃性などの副作用のリスクも存在します。攻撃性は、患者さんの生活の質を大きく損なう可能性があり、家族や周囲の人々にも大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、AEDを使用する際には、攻撃性の発現に注意し、適切な対応をすることが重要です。攻撃性が出現した場合には、医師に相談し、症状の改善策を検討することが必要です。

ラクダ博士の結論

抗てんかん薬は、砂漠のような広大なてんかん治療の分野において、大切なオアシスです。しかし、オアシスには蜃気楼のように、注意すべき点も存在します。本研究は、AEDと攻撃性の関連性を明らかにし、患者さんの生活の質を守る上で重要な知見を提供しています。ラクダ博士は、この研究結果が、患者さんと医療従事者の双方にとって有益な情報となることを願っています。