赤いショウガ抽出物は、マウスの脊髄ノルアドレナリン系を阻害することで、オキサリプラチン誘発性神経障害性疼痛の発症を予防する

著者: JoHeejoon, KimBonglee, KimWoojin, ParkKeun-Tae

原題: Red Ginger Extract Prevents the Development of Oxaliplatin-Induced Neuropathic Pain by Inhibiting the Spinal Noradrenergic System in Mice.

概要

本研究では、ショウガ抽出物のオキサリプラチン誘発性疼痛に対する予防効果をマウスで調査しました。本研究では、ショウガ抽出物が疼痛の発症を有意に抑制したことがわかりました。これは、ノルアドレナリン系を調節することで起こると考えられます。また、本研究では、ショウガ抽出物の有効なサブ成分であるジンセノサイドRg3を特定し、疼痛発症に対する予防効果を実証しました。本研究は、ショウガ抽出物とRg3が、オキサリプラチン誘発性疼痛を予防するための潜在的な治療薬になる可能性を示唆しています。

論文詳細　

原文の要約 :

Oxaliplatin is a well-known chemotherapeutic drug that is widely used to treat colorectal cancer. However, it can induce acute side effects in up to 90% of patients. Serotonin and norepinephrine reuptake inhibitors (SNRIs) are used as first-choice drugs; however, even SNRIs are known to be effective...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

紅生姜エキスは、マウスにおけるオキサリプラチン誘発神経障害性疼痛の発症を抑制する

オキサリプラチンは、大腸がんの治療に広く用いられている有名な化学療法薬です。しかし、患者の最大90%に急性副作用を引き起こす可能性があります。セロトニンとノルエピネフリン再取り込み阻害薬（SNRI）は、第一選択薬として使用されていますが、SNRIでさえ、予防ではなく治療にのみ効果があることが知られています。そのため、オキサリプラチンによって誘発される冷感や機械的な痛みの発症を予防できる薬剤の開発が求められています。この研究では、紅生姜エキスを100 mg/kgと300 mg/kgの複数回経口投与することで、マウスにおいて疼痛の発症を有意に予防できることを示しました。

作用機序として、ノルアドレナリン系の役割を調査しました。紅生姜エキスを投与すると、脊髄のα1-およびα2-アドレナリン受容体が有意にダウンレギュレートされました。さらに、パクリタキセルと紅生姜エキス投与後、血清および脊髄におけるノルアドレナリンレベルはそれぞれ上昇および低下しました。紅生姜の活性成分であるジンセノサイドRg3（Rg3）をHPLCを用いて同定および定量しました。さらに、Rg3を複数回腹腔内注射することで、パクリタキセル投与マウスにおける疼痛の発症を予防しました。このことから、Rg3が紅生姜エキスの効果を誘導している可能性が示唆されました。

紅生姜エキスの鎮痛効果

この研究では、紅生姜エキスが、オキサリプラチン誘発神経障害性疼痛の発症を抑制する効果があることが示唆されました。紅生姜エキスは、脊髄のノルアドレナリン系に作用することで、鎮痛効果を発揮していると考えられます。

オキサリプラチンによる副作用を軽減する方法

オキサリプラチンは、がん治療に有効な薬剤ですが、神経障害性疼痛などの副作用を引き起こす可能性があります。この研究では、紅生姜エキスが、オキサリプラチンによる副作用を軽減する可能性があることが示唆されました。しかし、紅生姜エキスは、薬ではないため、使用前に必ず医師に相談してください。

ラクダ博士の結論

砂漠の厳しい環境で生きるラクダは、様々な植物を食べて生き延びています。その中には、薬効を持つ植物も存在します。紅生姜も、砂漠の植物のように、薬効を持つ可能性があります。しかし、紅生姜エキスは、あくまでも研究段階であり、安全性が完全に証明されているわけではありません。オキサリプラチンの副作用に悩んでいる方は、医師に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。