GH治療を受けた、在胎週数に比べて小さく生まれた子供の思春期中の推定糸球体濾過率の低下は、GH治療の用量ではなく、早産と低出生体重に関連している

著者: EtaniYuri, IdaShinobu, KawaiMasanobu, KoizumiMikiko

原題: Reductions in estimated glomerular filtration rate during puberty in GH-treated children born small for gestational age are associated with prematurity and low birth weight, not the dosage of GH treatment.

概要

本後ろ向き研究では、思春期に胎児発育不全(SGA)で生まれた低身長児に対するGH治療が腎機能に与える影響を調査した。GH治療はeGFRの低下とは関連していなかったが、妊娠週数と出生体重は思春期におけるeGFRの低下と有意に相関していた。

論文詳細　

原文の要約 :

GH treatment has been widely utilized for short-statured children born small for gestational age (SGA). Although SGA children are at a higher risk of renal dysfunction, the effect of GH treatment on renal function is still unclear. We have previously shown that GH treatment is not associated with re...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

出生時体重が小さい子供におけるGH治療中の思春期における推定糸球体濾過量（eGFR）の減少は、GH治療の投与量ではなく、早産と低出生体重に関連している

GH治療は、出生時体重が小さい（SGA）子供における低身長の治療に広く使用されています。SGAの子供は腎臓機能不全のリスクが高いですが、GH治療が腎臓機能に与える影響は依然として不明です。以前、GH治療は思春期前には腎臓機能不全とは関連していないことを示しましたが、思春期におけるその影響は調査されていませんでした。そこで、思春期（思春期の始まりからGH治療の終了まで）の間、SGAの子供26人に、クレアチニンに基づく推定糸球体濾過量（eGFR）をレトロスペクティブに調査し、出生時のパラメータとGH治療との関連性を調べました。eGFRは思春期の間は減少しませんでしたが、妊娠週数と出生体重は思春期の間のeGFRの減少率と有意に負の相関がありました。eGFRの減少率は、インスリン様成長因子-1標準偏差スコアの変化や平均週毎のGH投与量と相関しませんでした。結論として、GH治療は、思春期の間、低身長のSGAの子供におけるeGFRの減少とは関連していませんでした。低出生体重と早産は思春期の間のeGFRの減少と関連していたため、低身長のSGAの子供のGH治療に関わらず、腎臓機能のモニタリングが必須でした。 [引用論文: PMID: 37020699]

GH治療における腎機能の重要性

GH治療は、低身長のSGAの子供に有効な治療法ですが、早産や低出生体重などの要因が、思春期における腎機能の低下を引き起こす可能性があります。そのため、GH治療を受ける子供は、定期的に腎臓機能を検査することが重要です。 [引用論文: PMID: 37020699]

ラクダ博士の結論

砂漠の旅で、ラクダは様々な困難に直面します。早産という名の砂嵐に巻き込まれたラクダは、低出生体重という名の砂丘を乗り越えなければなりません。GH治療という名のオアシスは、ラクダの成長を助け、砂漠を旅する力を与えてくれます。しかし、砂嵐や砂丘の過酷な環境は、ラクダの腎臓に負担をかけ、腎機能の低下を引き起こす可能性があります。そのため、GH治療を受けるラクダは、定期的に腎臓を検査し、砂漠を安全に旅できるようにする必要があります。