アルツハイマー病の発症における、マイクロバイオームと宿主の相互作用の役割

著者: DiltheyAlexander, FinzerPatrick, WeberChristian

原題: The role of microbiome-host interactions in the development of Alzheimer´s disease.

概要

このレビューでは、口腔マイクロバイオータの文脈における、アルツハイマー病（AD）の感染説について説明しています。<i>Porphyromonas gingivalis</i>などの病原体によって引き起こされる可能性のある口腔マイクロバイオータのディスバイオシスは、炎症と病原性マイクロバイオータの中枢神経系への移行を通じて、ADの発症に寄与する可能性があります。

論文詳細　

原文の要約 :

Alzheimer`s disease (AD) is the most prevalent cause of dementia. It is often assumed that AD is caused by an aggregation of extracellular beta-amyloid and intracellular tau-protein, supported by a recent study showing reduced brain amyloid levels and reduced cognitive decline under treatment with a...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

マイクロバイオームと宿主の相互作用がアルツハイマー病の発症に与える影響

アルツハイマー病（AD）は、最も一般的な認知症の原因です。ADは、細胞外ベータアミロイドと細胞内タウタンパク質の凝集によって引き起こされると考えられていますが、ヒトの脳におけるベータアミロイド凝集の根本的な原因はまだ明らかになっていません。様々な証拠から、ADの発症には、感染因子や炎症性疾患が重要な役割を果たしている可能性が示唆されています。

様々な微生物が、AD患者の脳脊髄液や脳内で検出されており、ADの発症と関連している可能性が示唆されています。これらの微生物には、Porphyromonas gingivalis（PG）やSpirochaetesなどがあります。興味深いことに、これらの微生物は、通常、口腔内にも存在し、AD患者では、虫歯や歯の喪失など、多くの病変によって口腔内の微生物叢が変化し、主に常在微生物に影響を与え、「ディスバイオシス」と呼ばれる状態になります。口腔内のディスバイオシスは、少なくとも部分的には、PGなどの主要な病原体によって媒介されていると考えられており、口腔内の結合組織の破壊を促進する炎症状態に関連しています。これにより、口腔内の病原性微生物が、口腔内から神経系に移動することが可能になるかもしれません。

そのため、口腔内のマイクロバイオームのディスバイオシスが、ADの発症に寄与している可能性が考えられています。このレビューでは、口腔内のマイクロバイオームと宿主の相互作用の観点から、ADの感染仮説について議論しています。ADの発症に寄与する可能性のある口腔内のマイクロバイオームと宿主の相互作用について、より深い理解を深めることが重要です。

口腔内のマイクロバイオームのディスバイオシスはアルツハイマー病の発症に関与している可能性

このレビューでは、口腔内のマイクロバイオームのディスバイオシスが、ADの発症に寄与している可能性を示唆しています。口腔内の微生物叢を適切に管理することで、ADの発症を予防できる可能性があります。

ラクダ博士の結論

アルツハイマー病は、複雑な病気であり、その発症には様々な要因が関与しています。このレビューでは、口腔内のマイクロバイオームのディスバイオシスが、ADの発症に寄与している可能性を示唆しています。口腔内の健康を維持することで、ADの発症リスクを低減できる可能性があります。今後の研究では、口腔内のマイクロバイオームとADの関係について、さらに詳しく調べる必要があります。