過敏性腸症候群の治療における精神薬理学的薬物。トリミプラミンの効果に関する二重盲検試験

著者: LarsenS, LarssenS E, LövlandB, MyrenJ

原題: Psychopharmacologic drugs in the treatment of the irritable bowel syndrome. A double blind study of the effect of trimipramine.

概要

トリミプラミンは、抗うつ薬であり、過敏性腸症候群の428人の患者における腹痛、吐き気、不眠、および抑うつに対して有意な有益な効果を持つことが判明した。6週間の治療後、患者は全体的な健康状態の有意な改善を報告した。唯一の副作用は、最初の2週間、一部の患者に朝の倦怠感が見られたことである。

論文詳細　

原文の要約 :

In the present multicentre double blind study of 428 patients with the irritable bowel syndrome a significant beneficial effect was found on abdominal pain, nausea, sleeplessness and depression by using 50 mg of the antidepressive drug, trimipramine, in the evening, as well as 10 mg three times dail...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

過敏性腸症候群の治療における精神薬理学的薬物：トリミプラミンの二重盲検試験

過敏性腸症候群（IBS）は、腹痛、下痢、便秘などの消化器症状を特徴とする疾患です。IBSの治療には、様々な薬物療法が用いられていますが、その効果は必ずしも十分ではありません。本研究では、抗うつ薬であるトリミプラミンが、IBSの症状改善に有効であるかを、二重盲検試験によって評価しました。

トリミプラミンの効果：IBSの症状改善

研究の結果、トリミプラミンは、IBS患者における腹痛、吐き気、不眠、うつ症状を有意に改善することが示されました。また、治療期間中のQOLスコアも有意に改善しました。これらの結果は、トリミプラミンが、IBSの症状改善に有効な薬物であることを示唆しています。

IBSの治療：新たな選択肢の提供

IBSは、原因が不明な疾患であり、効果的な治療法が限られています。トリミプラミンは、IBSの治療における新たな選択肢を提供し、患者さんのQOL向上に貢献する可能性があります。

ラクダ博士の結論

ラクダは、砂漠の中で、様々な植物を食べていますが、中には消化不良を起こすものもあります。同様に、IBS患者は、消化器症状に悩まされ、日常生活に支障をきたすことがあります。本研究で紹介されたトリミプラミンは、ラクダが砂漠で安全な植物を見つけるように、IBS患者にとって新たな希望となるかもしれません。ただし、トリミプラミンは、あくまでも症状を改善するための薬であり、IBSを完全に治すことはできません。IBSの治療には、薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法などの生活習慣改善も重要です。