レーザースペックル微小循環分析装置を用いたヒト視神経乳頭の組織循環に対する局所アドレナリン作動薬の影響

著者: AraieM, NagaharaM, TamakiY, TomidokoroA, TomitaK

原題: [Effect of topical adrenergic agents on tissue circulation in human optic nerve head evaluated with a laser speckle microcirculation analyser].

概要

この研究では、ヒト視神経乳頭の組織循環に対するカルテオロールとジピベフリンの影響を調べた。カルテオロールの単回点眼は、視神経乳頭の組織血流速度を有意に増加させたのに対し、ジピベフリンは有意な影響を与えなかった。両方の薬剤は眼圧を低下させた。これらの結果は、カルテオロールが視神経乳頭への血流を改善する可能性がある一方で、ジピベフリンはこれらの部位の血流に影響を与えないことを示唆している。

論文詳細　

原文の要約 :

The effects of a single instillation of 2% carteolol or 0.1% dipivefrine on the tissue circulation in the human optic nerve head (ONH) was studied using a laser speckle tissue circulation analyser in 12 healthy volunteers. In the first experiment, normalized blur (NB), a quantitative index of periph...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

レーザースペックルミクロ循環分析装置を用いたヒト視神経乳頭における局所用アドレナリン作動薬の組織循環への影響

本研究は、レーザースペックル組織循環分析装置を用いて、ヒト視神経乳頭（ONH）における組織循環に対する2％カルテオロールまたは0.1％ジピベフリンの単回点眼の影響を12人の健常ボランティアで調べたものです。

カルテオロールは視神経乳頭の血流を増加させる可能性

最初の試験では、正常化されたぼやけ（NB）を、目に見える表面血管のないONHの側頭部にある領域で0.125秒ごとに測定し、プラセボを30マイクロリットル点眼した後の両眼で5パルス（平均NB）にわたって平均化しました。眼圧（IOP）、血圧（BP）、心拍数（PR）も測定しました。2番目の試験では、ランダムに選択された片眼に2％カルテオロール（n=6）または0.1％ジピベフリン（n=7）を30マイクロリットル点眼し、もう片眼にはそれぞれの薬剤のプラセボを点眼し、上記の指標を最初の試験と同じ時間スケジュールで二重マスク法で測定しました。カルテオロール点眼後は、血漿中のカルテオロール濃度（CC）も測定しました。コントロール試験では、どの指標も有意な変化を示しませんでした。カルテオロール点眼後は、カルテオロール点眼眼では1.5〜4.5時間、対側眼では1.5時間と4.5時間で、コントロール試験で得られた値と比較して、IOPが有意に低くなりました。カルテオロール点眼眼では3時間で平均NBが有意に高くなり（23.1％）、対側眼では3時間で平均NBが有意に高くなりました（17.2％）（p<0.05）。BPとPRはほとんど変化しませんでした。3時間での最大CCは平均522pg/mlでした。したがって、カルテオロールの単回点眼は、ヒトの眼のONHにおける組織血流を増加させる可能性があります。ジピベフリン点眼後は、ジピベフリン点眼眼では4.5時間で、コントロール試験で得られた値と比較して、IOPが有意に低くなりました（p<0.05）。平均NB、BP、PRは有意な変化を示しませんでした。

健康への影響と生活への応用

この研究は、カルテオロールが視神経乳頭の血流を増加させる可能性を示しています。しかし、カルテオロールは眼圧を低下させる作用があるため、緑内障の患者には使用できません。

ラクダ博士の結論

視神経乳頭の血流は、砂漠のオアシスのように、大切なものです。カルテオロールは、視神経乳頭の血流を増加させることで、視神経を砂漠の乾燥から守る役割を果たすかもしれません。しかし、緑内障の患者にとっては、カルテオロールは砂漠の嵐のように、危険な存在となる可能性があります。医師の指示に従って、適切な方法で薬を使用することが大切です。