冠動脈アテローム性硬化症の進行を遅らせるための、カルシウムチャネルブロッカーと脂質低下療法の相乗効果

著者: BruschkeA V, JukemaJ W, Van der LaarseA, ZwindermanA H, van BovenA J

原題: Proposed synergistic effect of calcium channel blockers with lipid-lowering therapy in retarding progression of coronary atherosclerosis.

概要

本研究は、プラバスタチン療法にカルシウムチャネルブロッカー（CCB）を追加することで、冠動脈硬化症に対する有益な効果を高めることができるかどうかを調査した。本研究では、プラバスタチンを服用している患者で、CCBも服用していた患者は、CCBを服用していなかった患者と比較して、動脈硬化症の進行が有意に少なかった。CCBは、プラバスタチンを服用していない患者には利点が見られなかったが、本研究は、CCBとHMG-CoAレダクターゼ阻害剤を併用すると、冠動脈硬化症の進行を予防する有望なアプローチとなる可能性があることを示唆している。

論文詳細　

原文の要約 :

Lipid-lowering therapy now has undoubtedly proven to be an effective therapeutic modality to retard the progression of coronary atherosclerosis. An additional approach for prevention of the progression of atherosclerosis is calcium channel blocker (CCB) treatment. Evidence indicating that CCBs inhib...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

冠状動脈アテローム性動脈硬化症の進行を遅らせるためのカルシウムチャネルブロッカーと脂質低下療法の相乗効果の提案

脂質低下療法は、現在、冠状動脈アテローム性動脈硬化症の進行を遅らせる効果的な治療法であることが疑いなく証明されています。アテローム性動脈硬化症の進行を予防するための追加のアプローチは、カルシウムチャネルブロッカー（CCB）治療です。CCBがアテローム性動脈硬化症を抑制するという証拠は、脂質低下療法の明確な証拠ほど明確ではありません。多くの調査は、CCBがアテローム性動脈硬化症におけるいくつかの重要なプロセスに影響を与える可能性があることを示唆しています。動物とヒトで実施されたCCBに関する「ネガティブ」および「ポジティブ」な研究から、明らかにアテローム性動脈硬化症の過程のすべてではなく、一部の種類または段階がCCBによって抑制されていると結論付ける必要があります。脂質低下療法とCCB治療が、ヒトのアテローム性動脈硬化症に相加的または相乗的な有益な効果をもたらす可能性があるかどうかを評価するために、血管造影脂質低下試験REGRESS（プラバスタチン対プラセボ）のデータをレビューしました。REGRESSでは、プラバスタチン群の患者は、CCBと併用治療した場合、CCBと併用治療しなかった場合に比べて、有意に進行が少なかったのに対し、プラセボ（プラバスタチンなし）群では、CCB治療の影響は見られませんでした。血管造影による新しい病変の形成に関しては、プラバスタチン群では、CCBと併用治療した場合、CCBと併用治療しなかった場合に比べて、血管造影による新しい病変を認める患者が50％少なかったのに対し、プラセボ（プラバスタチンなし）群では、再び、CCB治療の有意な効果は見られませんでした。2年間の研究のフォローアップ期間中に、CCB治療の臨床的イベントに対する有益な効果は見られませんでした。いくつかの大規模試験で示されているように、血管造影による進行とそれに続く臨床的イベントの間に相関関係があることを考えると、この集団においても、より長いフォローアップで臨床的イベントに対する有益な効果が期待されることは非現実的ではありません。REGRESS試験は、併用療法を評価するために設計されたものではありませんでしたが、結果は、HMG-CoA還元酵素阻害剤療法（プラバスタチン）にCCBを追加すると、確立された冠状動脈アテローム性動脈硬化症の進行を遅らせる上で相乗的に作用することを示唆しています。これらの結果は、冠状動脈アテローム性動脈硬化症の進行を予防する上で、この組み合わせの長所をより明確に決定するために、前向き無作為化試験を実施する必要があるようです。現在、これらの分野における多くの研究が計画中またはすでに進行中です。

相乗効果の可能性

本研究では、カルシウムチャネルブロッカーと脂質低下療法の併用が、冠状動脈アテローム性動脈硬化症の進行を遅らせる上で相乗効果をもたらす可能性があることが示唆されました。この組み合わせ療法は、アテローム性動脈硬化症の進行をより効果的に抑制できる可能性があります。

心臓病の予防

冠状動脈アテローム性動脈硬化症は、心臓病の主要な原因です。心臓病のリスクを軽減するためには、健康的な生活習慣を維持することが重要です。食事療法、運動、禁煙などの生活習慣改善に加えて、カルシウムチャネルブロッカーと脂質低下療法の併用が、心臓病の予防に役立つ可能性があります。

ラクダ博士の結論

ラクダ博士は、この研究が、冠状動脈アテローム性動脈硬化症の予防と治療における新しい戦略を提案する興味深い研究であると感じています。カルシウムチャネルブロッカーと脂質低下療法の併用は、アテローム性動脈硬化症の進行をより効果的に抑制できる可能性があります。この研究は、心臓病の予防と治療に役立つ可能性があります。