抗精神病薬投与中の、肥満と関連する代謝異常：メカニズム、管理、および研究の展望

著者: BaptistaT, BeaulieuS, KinN M K N Y, de BaptistaE A

原題: Obesity and related metabolic abnormalities during antipsychotic drug administration: mechanisms, management and research perspectives.

概要

過剰な体重増加（BWG）は、抗精神病薬（AP）の一般的な副作用である。クロザピンとオランザピンは、BWGを誘発する可能性が最も高い。BWGと代謝機能不全について患者を注意深く観察する必要があり、ライフスタイルの変更を奨励する。

論文詳細　

原文の要約 :

Excessive body weight gain (BWG) is a common side effect of some typical and atypical antipsychotic drugs (APs). Convergent evidence suggests a hierarchy in the magnitude of BWG that may be induced by diverse agents, being very high for clozapine and olanzapine; high for quetiapine, zotepin, chlorpr...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

抗精神病薬投与中の肥満と関連する代謝異常：メカニズム、管理、研究の展望

精神医学における重要な課題として、抗精神病薬（AP）の投与に伴う体重増加（BWG）があります。本研究は、様々なAPによるBWGのメカニズム、管理、研究の展望を探求しています。著者らは、クロザピンとオランザピンが最も高いBWGを引き起こす可能性があり、クエチアピン、ゾテピン、クロルプロマジン、チオリダジン、リスペリドン、サートインドールがそれに続き、ジプラシドン、アミスルプリド、ハロペリドール、フルフェナジン、ピモジド、モリンドンは低いBWGを引き起こす可能性があると結論付けています。

BWGに関連する神経伝達物質と代謝異常

BWGは、APが脳のモノアミン系とコリン系に作用して食欲を増加させること、および高プロラクチン血症による代謝・内分泌効果に関連している可能性があります。統合失調症や躁うつ病の患者では、非定型AP導入前から糖尿病の有病率が有意に高くなっています。クロザピンとオランザピンは、特に血糖値の乱れと脂質異常を引き起こす可能性が高いことが示されています。BWG、インスリン抵抗性、食欲増加、それに伴う内分泌の変化は、糖尿病や脂質異常の素因がある患者で、これらの代謝異常の発症に関与する可能性があります。

肥満や代謝異常のリスクを減らすための対策

患者には、これらの副作用について説明し、過剰なBWGを予防するために、治療開始前および定期的に血糖値と脂質をモニタリングする必要があります。栄養指導を行い、定期的な運動を推奨する必要があります。APを選択する際には、患者の特定の症状に対する薬効と、体重増加のリスク、糖尿病や脂質異常の家族歴や個人歴、空腹時血漿グルコース、脂質、インスリン値などの関連するリスク因子を評価する必要があります。現在、AP誘発BWGに対する標準的な薬物療法はありません。アマンタジン、オルリスタット、メトホルミン、ニザチジン、トピラマートなどの薬剤のAP誘発BWGに対する効果を評価した研究がいくつかあります。さらなる研究により、AP投与中の肥満や代謝異常のリスクが高い患者を特定するためのツールが開発されるでしょう。

ラクダ博士の結論

砂漠を旅するラクダにとって、適切な水分補給は生き延びるために不可欠です。同様に、抗精神病薬を服用する患者さんにとって、肥満や代謝異常を防ぐための適切な管理は、健康を維持するために不可欠です。この研究は、抗精神病薬が引き起こす可能性のある様々な副作用と、その予防策について、貴重な情報を提供しています。患者さんと医師が協力して、適切な薬剤選択、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことで、副作用のリスクを最小限に抑え、健康的な生活を送ることができるでしょう。