手術可能な乳がんに対する補助化学療法のランダム化試験：i.v. CMFとエピルビシン含有レジメンの比較 [コメント参照]

著者: BonichonF, ChauvergneJ, DilhuydyJ M, DurandM, MauriacL

原題: Randomized trial of adjuvant chemotherapy for operable breast cancer comparing i.v. CMF to an epirubicin-containing regimen [see comment].

概要

早期乳がんの女性228人を対象とした研究では、2つの化学療法レジメンを比較した。CMF（シクロホスファミド、メトトレキサート、5-FU）と、MTV（ミトマイシンC、チオテパ、ビンデシン）とEVM（エピルビシン、ビンクリスチン、メトトレキサート）を組み合わせた療法である。どちらのレジメンも、全生存率と、局所および遠隔再発率は同様であった。しかし、局所乳房再発はCMF群で多かった。この研究では、MTV+EVMレジメンは、脱毛と神経の問題がより多く見られ、CMFは、血液関連の副作用がより多く見られた。

論文詳細　

原文の要約 :

From January 1985 to December 1987, 228 women with breast cancer smaller than 3 cm were treated by surgery +/- radiotherapy. All of them had axillary node involvement (N+) and/or lacked estrogen and progesterone steroid receptors (EPR-). They were randomized in an adjuvant chemotherapy trial compari...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

乳がんの術後化学療法におけるCMFとエピルビシン含有レジメンの比較

乳がん治療の分野において、手術後の化学療法（術後化学療法）は重要な役割を担っています。本研究は、手術後に化学療法を受けた乳がん患者さんに対して、CMF（シクロホスファミド、メトトレキサート、5FU）とエピルビシン含有レジメンの有効性を比較検討したものです。研究では、228人の乳がん患者さんを、CMF群とエピルビシン含有レジメン群に無作為に割り当てました。その結果、59ヶ月の追跡調査で、CMF群では局所乳がん再発の頻度が高かったものの、区域および転移性再発は両群で同等でした。また、全生存率も両群で同等でした。副作用に関しては、脱毛症や神経毒性はMTV+EVM群で多かったものの、一般的な毒性や消化器毒性は同等でした。血液毒性はCMF群で強く、より頻繁な投与量の減量が必要でした。

エピルビシン含有レジメンがより効果的？

本研究では、エピルビシン含有レジメンは、CMFに比べて局所乳がん再発の頻度を抑制する効果が示されました。これは、エピルビシンがCMFに比べて強力な抗がん剤であるためと考えられます。一方、副作用の面では、エピルビシン含有レジメンは脱毛症や神経毒性が強いという課題も明らかになりました。そのため、患者さんの状態やリスクなどを考慮した上で、最適な治療法を選択することが重要です。

乳がん治療の選択肢を増やす

本研究の結果は、乳がんの術後化学療法における治療選択肢を拡大する重要な知見となります。エピルビシン含有レジメンは、CMFに比べて局所乳がん再発を抑制する効果が期待できる一方、副作用の面では注意が必要です。患者さんの状態やリスクなどを考慮した上で、医師と相談し、最適な治療法を選択することが大切です。

ラクダ博士の結論

乳がん治療の現場では、常に新しい治療法が開発されています。ラクダ博士は、この研究のように、様々な治療法を比較検討し、患者さんにとって最適な治療を選択することが重要だと考えています。砂漠のように広大な治療法の選択肢の中から、患者さんにとって最も効果的な治療法を見つけることは、まさに砂漠を旅するようなものです。ラクダ博士は、患者さんが安心して治療を受けられるよう、これからも研究を続け、より良い治療法の開発に貢献していきます。