広場恐怖を伴うパニック障害の治療における、認知行動療法と生きた暴露療法の比較（agrophobiaの誤字修正）.

著者: OstLars-Göran, RamneröJonas, ThulinUlrika

原題: Cognitive behavior therapy vs exposure in vivo in the treatment of panic disorder with agoraphobia (corrected from agrophobia).

概要

本研究は、広場恐怖症を伴うパニック障害の2つの治療法を比較した。曝露療法と認知行動療法（CBT）である。どちらの治療法も、パニック、広場恐怖症の症状、精神的な健康全体において、有意な改善を示し、1年間のフォローアップで改善が維持された。しかし、2つの治療法間に有意な差は見られず、曝露療法に認知療法を追加しても、追加のベネフィットは得られないことを示唆している。

論文詳細　

原文の要約 :

Seventy-three psychiatric outpatients with DSM-IV diagnosis of panic disorder with agoraphobia were assessed with a battery of independent assessor, self-observation, self-report and behavioral measures before and after therapy, and at a 1-yr follow-up. They were randomly assigned to Exposure in viv...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

パニック障害と広場恐怖症の治療における認知行動療法と暴露療法の比較

パニック障害と広場恐怖症の治療において、認知行動療法(CBT)と暴露療法(E)の有効性を比較した興味深い研究ですね！この分野では、どちらが優れているのか、それとも組み合わせた方が効果的か、長年議論されてきました。この研究では、73人の患者さんを3つのグループに分け、CBT、E、そして待ちリストコントロール(WLC)という3つの方法で治療を行いました。12～16週間の治療後、そして1年間のフォローアップで、パニックや広場恐怖に関する症状、一般的な不安、うつ、社会適応、生活の質などを評価したそうです。結果、どちらも効果があったものの、CBTとEの間には有意な差は見られなかったとのことです。つまり、暴露療法に認知療法を加えても、暴露療法単独と比べて有意に効果が上がるわけではないということが示唆されました。

暴露療法に認知療法を加える必要性とは？

暴露療法単独でも効果が見られたということは、パニック障害と広場恐怖症の治療において、恐怖や不安に立ち向かう行動的なアプローチが重要であることを示唆しています。しかし、認知療法は、不安や恐怖を引き起こす思考パターンを修正し、より効果的な対処法を身につけるための技術を学ぶことを目的としているため、暴露療法と組み合わせることで、より長期的な効果が期待できる可能性もあります。今回の研究では、有意な差は認められなかったものの、認知療法が暴露療法の効果を高める可能性はあるので、今後の研究でさらなる検証が必要ですね。

パニック障害と広場恐怖症を抱える方へ

パニック障害と広場恐怖症は、不安や恐怖によって日常生活に大きな支障をきたす可能性のある疾患です。もし、これらの症状に悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに、医療機関を受診することをお勧めします。専門医の診察を受け、適切な治療法を選択することで、症状の改善が期待できます。今回の研究結果のように、効果的な治療法は様々ですので、諦めずに相談してみましょう。

ラクダ博士の結論

パニック障害と広場恐怖症の治療には、暴露療法が効果的であることが改めて示されました。認知療法を追加することで、より効果が期待できる可能性もありますが、今回の研究では有意な差は認められませんでした。しかし、個々の患者さんの状況や症状によって最適な治療法は異なるため、専門医の指導のもと、自分に合った治療法を選択することが重要です。