季節性情動障害の治療メカニズム：フルオキセチンと光は、概日リズムの位相を早めることで作用するか？

著者: EnnsMurray W, LamRaymond W, LevitanRobert D, LevittAnthony J, MichalakErin E, MorehouseRachel, MurrayGreg

原題: Therapeutic mechanism in seasonal affective disorder: do fluoxetine and light operate through advancing circadian phase?

概要

この研究では、季節性情動障害（SAD）の冬季型に対する光療法の治療メカニズムが、概日リズムの位相前進によって媒介されるという理論を支持する証拠は見つからなかった。光療法とフルオキセチンはどちらも抗うつ効果と位相前進に関連しているにもかかわらずである。

論文詳細　

原文の要約 :

In the context of Lewy's phase delay hypothesis, the present study tested whether effective treatment of winter Seasonal Affective Disorder (SAD) is mediated by advancing of circadian phase. Following a baseline week, 78 outpatients with SAD were randomized into 8 weeks of treatment with either fluo...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

季節性情動障害（SAD）の治療メカニズム：フルオキセチンと光療法は、概日リズムを前進させることで効果を発揮するのか？

季節性情動障害（SAD）は、季節の変化によって気分が落ち込む病気です。SADの治療には、フルオキセチンなどの抗うつ薬や光療法が用いられています。SADの治療は、概日リズムを前進させることで効果を発揮するという仮説が提唱されています。概日リズムとは、睡眠や覚醒などの生理現象が約24時間周期で繰り返されるリズムのことです。

本研究では、SADの治療効果が、概日リズムを前進させることによって得られるのかを調べました。研究者たちは、SADの患者を対象に、フルオキセチンとプラセボ光療法群、光療法とプラセボ薬群に分け、治療効果と概日リズムの変化を評価しました。

SADの治療効果と概日リズム

研究の結果、フルオキセチン群と光療法群のいずれも、有意な抗うつ効果と概日リズムの前進が認められました。しかし、治療前後の比較では、症状の変化の程度と概日リズムの変化の程度には相関関係が見られませんでした。これらの結果は、SADの治療効果が、概日リズムの前進によって得られるという証拠は得られなかったことを示唆しています。

SADの治療

SADの治療には、フルオキセチンなどの抗うつ薬や光療法が用いられています。本研究では、SADの治療効果が、概日リズムの前進によって得られるという証拠は得られませんでした。SADの治療については、医師と相談することが重要です。

ラクダ博士の結論

SADは、砂漠の夜のように、気分を暗くする病気です。本研究は、SADの治療が、概日リズムを前進させることで効果を発揮するのかを調べました。研究の結果、概日リズムの前進が治療効果に関係しているという証拠は得られませんでした。しかし、SADの治療には、様々な方法があり、患者さんの状態に合わせて適切な方法を選択することが重要です。