パニックと回避の経過、パニック障害の発症年齢、および治療反応の予測。クロスナショナルコラボレーティブパニック研究からの報告

著者: BenkertO, BullerR, GoldenbergI M, LavoriP W, MaierW

原題: Chronology of panic and avoidance, age of onset in panic disorder, and prediction of treatment response. A report from the Cross-National Collaborative Panic Study.

概要

本研究は、パニック障害の発症時期と回避行動の関係、およびそれらが治療成績にどのような影響を与えるかを調査した。完全なパニック障害を経験する前に回避行動を発症した患者は、広場恐怖症がそれほど重症ではなかったが、治療への反応に違いは見られなかった。パニック障害の早期発症は、広場恐怖症の有病率が高いことに関連していた。しかし、パニック障害または回避行動の発症時期は、アルプラゾラムまたはイミプラミンの治療成績を予測しなかった。

論文詳細　

原文の要約 :

The relevance of the chronology between panic disorder and avoidance behavior and of an early, medium or late onset of panic disorder was tested. Groups from the sample of the cross-national collaborative panic study (CNCPS) were compared for differences in basic characteristics and for the ability ...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

パニックと回避行動の経過、パニック障害の発症年齢、および治療反応の予測：国際共同パニック研究からの報告

パニック障害と回避行動の経過、およびパニック障害の早期、中期、または後期発症の関連性を検証しました。国際共同パニック研究（CNCPS）のサンプルから、基本的な特性における違い、および治療反応を予測する能力について、各グループを比較しました。パニック障害の完全な症候群が出現する前に回避行動を発達させた患者は、完全な広場恐怖症になることが少なく、治療反応は異なりませんでした。パニック障害の早期発症の患者は、広場恐怖症になることが多かったです。パニック障害の早期、中期、または後期発症のグループにおける治療反応は類似していました。パニック障害と回避行動の経過、またはパニック障害の発症年齢は、アルプラゾラムまたはイミプラミンによる短期治療における転帰を予測しませんでした。

パニック障害の治療反応に対する経過と発症年齢の影響は限定的

この研究では、パニック障害の経過や発症年齢は、アルプラゾラムやイミプラミンによる短期治療の転帰を予測する上で、それほど重要な要素ではないことが示されました。パニック障害の治療反応は、経過や発症年齢よりも、他の要因に左右される可能性があります。

健康への影響と生活への応用

パニック障害は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。しかし、この研究では、パニック障害の経過や発症年齢は、必ずしも治療反応を左右しないことが示唆されました。もし、パニック障害に悩まされている場合は、早期に専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。治療には薬物療法だけでなく、認知行動療法などの心理療法も有効です。自分にとって最適な治療法を見つけ、積極的に治療に取り組むことで、パニック障害を克服できる可能性があります。

ラクダ博士の結論

パニック障害は、まるで砂漠の蜃気楼のように、不安や恐怖が大きく膨らんでしまう病気です。この研究は、パニック障害の治療は、その経過や発症年齢だけで決まるものではなく、患者さん一人ひとりの状況に合わせて適切な治療を行う必要があることを教えてくれます。砂漠を歩く旅人が、蜃気楼に惑わされることなく、目的地にたどり着くように、パニック障害の治療も、専門家の助けを借りながら、一歩ずつ進んでいきましょう。