テノフォビルジソプロキシルフマル酸のランダム化臨床試験の48週の結果

著者: ArribasJose R, BlochMark, ChuckSusan, CohenCalvin, De-OertelShampa, EbrahimiRamin, FralichTodd, HenryKeith, PorterDanielle, TownerWilliam, Van LunzenJan, WalkerIvan, WhiteKirsten, WilkinsEdmund, WohlDavid

原題: Week 48 results from a randomized clinical trial of rilpivirine/emtricitabine/tenofovir disoproxil fumarate vs. efavirenz/emtricitabine/tenofovir disoproxil fumarate in treatment-naive HIV-1-infected adults.

概要

治療歴のないHIV-1感染成人におけるリルピビリン/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩（RPV/FTC/TDF）とエファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルDF（EFV/FTC/TDF）を比較した第3b相無作為化比較試験では、RPV/FTC/TDFは、48週時においてHIV-1 RNAが50コピー/ml未満であるという点で、EFV/FTC/TDFに劣らなかった。RPV/FTC/TDFは、ベースラインのHIV-1 RNAが100000コピー/ml以下の参加者に対して、EFV/FTC/TDFと比較して有効性に統計的に有意な差を示した。また、RPV/FTC/TDFは、EFV/FTC/TDFと比較して忍容性が向上した。

論文詳細　

原文の要約 :

OBJECTIVES: To compare the safety and efficacy of the two single-tablet regimens (STRs), rilpivirine/emtricitabine/tenofovir disoproxil fumarate (RPV/FTC/TDF) and efavirenz/emtricitabine/tenofovir DF (EFV/FTC/TDF), in HIV-1-infected, treatment-naive adults. DESIGN: This is a phase 3b, randomized, o...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

HIV治療薬の比較研究：リリピビルインはエファビレンツよりも優れているのか？

HIV感染症の治療分野では、日々新たな治療法の開発が進んでいます。中でも、単剤療法は、患者さんの服薬負担を軽減できることから注目されています。本研究は、2種類の単剤療法であるリリピビルイン/エムトリシタビン/テノフォビルジソプロキシルフマル酸塩 (RPV/FTC/TDF)とエファビレンツ/エムトリシタビン/テノフォビルDF (EFV/FTC/TDF)の安全性と有効性を比較したものです。研究者たちは、治療経験のないHIV-1感染者の参加者を対象に、ランダムにどちらかの薬剤を投与し、48週間後のウイルス量を測定しました。

リリピビルインはエファビレンツよりも優れているのか？

結果、RPV/FTC/TDF群はEFV/FTC/TDF群と比較して、48週後にウイルス量が50コピー/ml未満となった割合が高いことが示されました。特に、ベースライン時のウイルス量が10万コピー/ml以下の参加者では、RPV/FTC/TDF群の有効性が有意に高かったことが注目されます。一方、ベースライン時のウイルス量が10万コピー/mlを超える参加者では、両群間に有意な差は見られませんでした。また、RPV/FTC/TDF群では、ベースライン時のウイルス量が高いほど、ウイルス学的失敗（ウイルス量が目標値に達しないこと）が起こりやすくなる傾向が見られました。

リリピビルインはエファビレンツよりも安全で忍容性が高い？

安全性に関しては、RPV/FTC/TDF群はEFV/FTC/TDF群と比較して、副作用による治療中止率が低く、忍容性が高いことが示されました。ただし、RPV/FTC/TDF群では、EFV/FTC/TDF群よりも薬剤耐性の出現率が高かったという結果も得られました。

ラクダ博士の結論

本研究は、RPV/FTC/TDFがEFV/FTC/TDFと比較して、治療経験のないHIV-1感染者において、有効性が高く、安全性も良好であることを示唆しています。特に、ベースライン時のウイルス量が10万コピー/ml以下の患者さんにおいては、RPV/FTC/TDFがより効果的な選択肢となる可能性があります。しかし、RPV/FTC/TDFでは薬剤耐性の出現率が高くなる可能性も考慮する必要があるため、医師と相談の上、適切な治療法を選択することが大切です。まるで、広大な砂漠を旅する際に、最適なラクダを選ぶように、自分にとって最適な治療法を選びましょう。