ALK陽性進行期NSCLC患者のクリゾチニブによる腎臓への影響

著者: CamidgeD Ross, KimElizabeth E, LewisIona, PolliAnna, UsariTiziana, WilnerKeith D

原題: Renal Effects of Crizotinib in Patients With ALK-Positive Advanced NSCLC.

概要

クリゾチニブは、ALK陽性進行非小細胞肺癌（NSCLC）の薬剤であり、治療開始後最初の2週間は、主にクレアチニンベースの腎機能推定値が低下しました。しかし、これらの変化は治療中止後には大部分が可逆的であり、効果は真の腎毒性ではなくクレアチニンの分泌に対するものである可能性があることを示唆しています。

論文詳細　

原文の要約 :

INTRODUCTION: We retrospectively analyzed the effects of crizotinib on serum creatinine and creatinine-based estimated glomerular filtration rate (eGFR) in patients with anaplastic lymphoma kinase-positive advanced NSCLC across four trials (NCT00585195, NCT00932451, NCT00932893, and NCT01154140). M...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

クリゾチニブの腎臓への影響

肺がんの治療薬クリゾチニブは、効果的な治療法として注目されています。しかし、クリゾチニブが腎臓にどのような影響を与えるのか、詳しいことは分かっていませんでした。この研究は、クリゾチニブが腎機能に影響を与える可能性を示唆しています。

クリゾチニブは腎機能に影響を与える？

クリゾチニブを投与された肺がん患者では、血清クレアチニン値が上昇し、推算糸球体濾過量（eGFR）が低下することが観察されました。しかし、これらの変化は、クリゾチニブ投与開始後2週間で最も顕著であり、その後は安定していました。さらに、クリゾチニブ投与中止後には、血清クレアチニン値とeGFRは元の値に戻りました。

腎臓への影響は一時的なもの？

この研究の結果は、クリゾチニブが腎臓に直接的な毒性を示すのではなく、クレアチニンの分泌に影響を与える可能性を示唆しています。クリゾチニブによる腎機能の変化は、一時的なものであり、クリゾチニブ投与中止後に回復する可能性があります。しかし、腎臓の健康状態には個人差があり、クリゾチニブが腎機能に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。

ラクダ博士の結論

クリゾチニブは、腎臓への影響が懸念されますが、一時的な変化である可能性が高いです。クリゾチニブを投与されている方は、定期的に腎機能検査を受けることが大切です。砂漠のラクダは、水分の不足にとても敏感です。クリゾチニブのように腎機能に影響を与える可能性のある薬剤を使用する際は、注意深く観察することが重要です。