心的外傷後ストレス障害とアルコール使用障害の併存を伴う退役軍人における、治療反応性に関連する神経情動的メカニズム

著者: HarléKatia M, NormanSonya B, SimmonsAlan N, SpadoniAndrea D

原題: Neural affective mechanisms associated with treatment responsiveness in veterans with PTSD and comorbid alcohol use disorder.

概要

本研究では、PTSDとアルコール使用障害（AUD）を併発している退役軍人におけるPTSD治療の反応性と関連する神経メカニズムを検討し、外傷関連の合図に対する予測反応性の低下が、症状の軽減と関連していることがわかった。

論文詳細　

原文の要約 :

Post-traumatic stress disorder (PTSD) is associated with neuro-physiological abnormalities reflecting increased anticipatory anxiety and reactivity to traumatic cues. It remains unclear whether neural mechanisms associated with PTSD treatment responsiveness, i.e. hyperactivation of the affective sal...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

PTSDと併存するアルコール使用障害を持つ退役軍人における治療反応性と関連する神経感情的メカニズム

心的外傷後ストレス障害（PTSD）は、トラウマ関連のキューに対する予期不安と反応性の増加を反映した神経生理学的異常と関連しています。PTSD治療反応性と関連する神経メカニズム、すなわち脳の感情的顕著性ネットワークの過剰活性化が、PTSDと物質使用障害が併存する集団にまで及ぶかどうかは不明です。

PTSDと併存するアルコール使用障害（AUD）を持つ退役軍人31人を、長期暴露療法群と非暴露療法群に無作為に割り当てました。参加者は、治療開始直前と終了直後に、機能的磁気共鳴画像法（fMRI）を行いながら感情的予期タスクを行いました。治療の種類と期間を調整した後、PTSD症状の減少が大きかったほど、右前補足運動野（pre-SMA）における負のトラウマ関連キューに対する予期活性化の低下と関連しました。pre-SMAは、感情調節に関与する領域です。PTSDの重症度の減少が小さかったほど、感情処理領域である右傍海馬領域におけるこれらのキューに対する予期活性化の増加と関連しました。これらの結果は、PTSDとAUDが併存する個人では、治療後のトラウマ関連キューに対するpre-SMAと傍海馬領域における予期反応性の低下が、PTSD症状の大きな減少と関連することを示唆しています。

PTSD治療における脳活動の重要性

この研究は、PTSDとAUDが併存する個人におけるPTSD治療反応性に関連する脳の特定の領域を特定しました。これらの知見は、この集団における他のPTSD治療法に対する代替手段として、または強化策として、神経フィードバック訓練の標的を提供する可能性があります。砂漠のラクダは、厳しい環境に適応するために、様々な感覚器官を発達させてきました。同様に、私たちの脳も、様々な状況に適応するために、複雑な神経ネットワークを形成しています。PTSD治療における脳活動の研究は、私たちがトラウマと向き合い、克服するための新たな理解を提供しています。

ラクダ博士の結論

この研究は、PTSDとアルコール使用障害が併存する退役軍人における治療反応性と関連する脳の特定の領域を特定しました。これらの知見は、この集団におけるPTSD治療法の開発に役立つ可能性があります。砂漠のラクダは、厳しい環境に適応するために、様々な感覚器官を発達させてきました。同様に、私たちの脳も、様々な状況に適応するために、複雑な神経ネットワークを形成しています。PTSD治療における脳活動の研究は、私たちがトラウマと向き合い、克服するための新たな理解を提供しています。