ROS1 再構成型肺腺癌のセリチニブ抵抗性患者の場合、免疫化学療法と免疫特性への短期的な反応

著者: ChenPeng, ChenZhipeng, LiJingjing, QianJuanjuan, WangChangli, YueDongsheng, ZhangBin, ZhangHenghui, ZhangLei

原題: Short-term response to immune-chemotherapy and immune features of a ceritinib-resistant patient with ROS1-rearranged lung adenocarcinoma.

概要

ROS1転座陽性肺腺癌の患者が、セリチニブに抵抗性を示したため、ロラチニブ療法が奏効した。ニボルマブと化学療法の併用免疫療法は、当初部分奏効を示したが、長期的な効果は限定的であったことから、免疫因子をモニタリングする必要があることが示唆された。

論文詳細　

原文の要約 :

Patients with ROS1-rearranged non-small cell lung cancer (NSCLC) inevitably relapse after first-line targeted therapy with tyrosine kinase inhibitors. Efficacy of checkpoint inhibitor-based therapy on ROS1-positive NSCLC in second-line setting and change of immune factors during treatm...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

ROS1 遺伝子再構成を伴う肺腺癌のセリチニブ抵抗性患者における免疫化学療法への短期的な反応と免疫学的特徴

肺癌は、その治療法の開発が急務とされるがんの一つです。本研究は、ROS1 遺伝子再構成を伴う非小細胞肺癌（NSCLC）のセリチニブ抵抗性患者における免疫化学療法への短期的な反応と免疫学的特徴について、詳細な解析を行いました。著者らは、セリチニブ抵抗性患者において、免疫化学療法が初期的に部分奏効を示すものの、脳転移が発生し、免疫チェックポイント阻害剤ベースの治療の有効性と治療中の免疫因子の変化について考察しています。

ROS1 遺伝子再構成を伴う肺癌：免疫化学療法の新たな可能性

研究結果によると、セリチニブ抵抗性を示したROS1 遺伝子再構成を伴う肺腺癌患者は、ニボルマブと化学療法を併用した免疫化学療法を受けました。患者は初期的に部分奏効を示しましたが、7サイクル目に脳転移が発生しました。この患者に対して、3次治療としてロルラチニブが投与され、良好な反応を示し、再発は認められませんでした。免疫化学療法中の腫瘍免疫微小環境（TIME）を多重免疫組織化学、RNAシーケンス、多重血漿タンパク質免疫アッセイで調べた結果、免疫化学療法に反応した際にはTIMEが活性化し、血漿炎症性因子が上昇したことが示されました。一方、疾患が進行した際には、血漿中の抑制性チェックポイントタンパク質、リンパ球活性化遺伝子3、BおよびTリンパ球減弱因子、プログラム細胞死リガンド1（PD-L1）、PD-1が上昇しました。さらに、治療中の腫瘍組織におけるPD-L1の発現は上昇し、免疫化学療法の限られた効果を予測する可能性がありました。

ROS1 遺伝子再構成を伴う肺癌の治療：新たな戦略への期待

本研究は、ROS1 遺伝子再構成を伴う肺癌の治療において、免疫化学療法が効果を示す可能性がある一方で、ロルラチニブなどの新たな治療法の開発が期待されることを示唆しています。また、免疫療法を行う際には、免疫因子のモニタリングを行い、治療への反応を予測することが重要であると考えられます。

ラクダ博士の結論

肺癌は、まるで砂漠の猛暑のように、患者さんを苦しめる病気です。本研究は、ROS1 遺伝子再構成を伴う肺癌の治療において、免疫化学療法が効果を示す可能性がある一方で、ロルラチニブなどの新たな治療法の開発が期待されることを示唆しています。砂漠の旅では、ラクダが暑さに耐えるように、患者さんも医師と協力して、自分に適した治療法を選択することが重要です。今後の研究によって、ROS1 遺伝子再構成を伴う肺癌の治療はさらに進歩し、患者さんの生活の質が向上するでしょう。