2型糖尿病における有害薬物反応の遺伝学：系統的レビュー

著者: BayeAssefa M, DawedAdem Y, FantaTeferi G, SiddiquiMoneeza K

原題: The Genetics of Adverse Drug Outcomes in Type 2 Diabetes: A Systematic Review.

概要

本系統的レビューでは、2型糖尿病患者の経口血糖降下薬の有害薬物反応（ADR）発生率に対する遺伝子多型の影響を調査した。レビューでは、薬物トランスポーターと代謝酵素の遺伝子変異が、メトホルミン関連の胃腸ADRとスルホニル尿素誘発の低血糖の発生率増加に関連していることがわかった。新しい抗糖尿病薬のADRに対する遺伝子の影響を調査し、人種および民族的差異を考慮するために、さらなる研究が必要である。

論文詳細　

原文の要約 :

<b>Background:</b> Adverse drug reactions (ADR) are a major clinical problem accounting for significant hospital admission rates, morbidity, mortality, and health care costs. One-third of people with diabetes experience at least one ADR. However, there is notable interindividual heterogeneity resul...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

糖尿病における薬物副作用の遺伝学：システマティックレビュー

糖尿病の分野において、薬物副作用の遺伝学的基盤を理解することは重要な課題です。本研究は、システマティックレビューという手法を用いて、2型糖尿病患者における経口血糖降下薬の副作用と遺伝子多型との関連性を調査しました。

遺伝子多型が薬物副作用に与える影響

研究では、18件の論文、合計10,383人の被験者を分析しました。その結果、有機カチオン輸送体1（OCT1、SLC22A1遺伝子によってコードされる）の機能が低下した対立遺伝子を持つ人や、細胞膜モノアミン輸送体（PMAT、SLC29A4遺伝子によってコードされる）またはセロトニン輸送体（SERT、SLC6A4遺伝子によってコードされる）の発現が低下した対立遺伝子を持つ人は、メトホルミン関連の消化器系副作用のリスクが高いことがわかりました。さらに、これらの副作用は、腸管輸送阻害薬との併用療法によって悪化する可能性があることが示されています。

健康への影響と生活への応用

糖尿病患者は、自分の遺伝子情報を理解することで、メトホルミンなどの薬物療法をより安全に受けることができる可能性があります。また、薬剤師や医師と連携して、薬物療法の最適化を図ることが重要です。さらに、腸管輸送阻害薬との併用療法については、医師との相談が必要です。

ラクダ博士の結論

本研究は、糖尿病患者における薬物副作用の遺伝学的基盤を理解するために、貴重な知見を提供しています。この研究結果を基に、より個別化された治療法の開発が期待されます。しかし、研究対象が限られているため、さらなる研究が必要となります。例えば、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬などの新しい抗糖尿病薬に関する遺伝学的調査が必要です。また、人種や民族の違いを考慮した薬理遺伝学的研究も重要です。ラクダ博士は、糖尿病患者が安心して薬物療法を受けられるよう、これらの研究が活発に行われることを期待しています。