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出血患者におけるトロンボエムボリックイベントと発作に対するトラネキサム酸の効果：系統的レビューとメタ分析

トラネキサム酸（TXA）は、手術出血を減らし、外傷や分娩後の出血による死亡を減らすことが報告されています。しかし、トロンボエムボリックイベントや発作に対するその効果は明らかではありません。本稿では、出血患者のTXAの安全性を調べるために、系統的レビューとメタ分析を実施しました。

TXAの安全性：トロンボエムボリックイベントと発作

本系統的レビューとメタ分析では、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled trialsを2020年6月1日まで遡って検索しました。出血患者の静脈内トラネキサム酸とプラセボまたは無介入を比較した無作為化試験を含めました。主要なアウトカムは、トロンボエムボリックイベント、静脈血栓塞栓症、急性冠症候群、脳卒中、発作でした。メタ分析は、ランダム効果モデルを用いて実施され、メタ回帰分析は、効果が用量によってどのように変化するかを評価するために実施されました。GRADE（推奨、評価、開発、評価の等級付け）アプローチを用いて、エビデンスの確実性を評価しました。

TXAの安全性：メタ分析結果

メタ分析には、患者102,681人を対象とした研究234件が含まれました。出血患者において、TXAがトロンボエムボリックイベント（RR=1.00[95%CI 0.93-1.08]）、発作（1.18[0.91-1.53]）、静脈血栓塞栓症（1.04[0.92-1.17]）、急性冠症候群（0.88[0.78-1.00]）、脳卒中（1.12[0.98-1.27]）のリスクを増加させたというエビデンスはありませんでした。用量別の感度分析では、TXAを1日2g以上投与された患者で発作が増加しました（3.05[1.01-9.20]）。メタ回帰分析では、TXAの用量増加に伴い発作リスクが増加することが示されました（p=0.011）。

TXAの使用における注意点

本研究の結果、出血患者におけるTXAのトロンボエムボリックイベントのリスク増加は認められませんでした。しかし、発作のリスクが用量依存的に増加する可能性があるため、非常に高用量は避けるべきです。

ラクダ博士の結論

出血患者において、TXAのトロンボエムボリックイベントのリスク増加は認められませんでした。しかし、発作のリスクが用量依存的に増加する可能性があるため、非常に高用量は避けるべきです。TXAの使用を検討する際は、必ず医師に相談してください。