個々の症状の軽減と治療後の重症度：心的外傷後ストレス障害に対する長時間曝露に対する、症状の軽減のばらつき

著者: AciernoRon, CoxKeith S, RauchSheila A M, TuerkPeter W, WangelinBethany, WienerDanielle

原題: Individual symptom reduction and post-treatment severity: Varying levels of symptom amelioration in response to prolonged exposure for post-traumatic stress disorder.

概要

本研究では、心的外傷後ストレス障害（PTSD）のさまざまな症状が、心的外傷後ストレス障害（PTSD）の一般的な治療法である心的外傷後ストレス障害（PE）にどのように反応するかを調べました。ほとんどの症状は同様に改善しましたが、回避症状が最も大きく減少しました。しかし、治療後でも、睡眠障害や過剰な警戒など、一部の症状は、記憶の問題、未来が短くなったように感じる、フラッシュバックなど、他の症状よりも重症でした。本研究は、将来の治療では、特に睡眠障害や過剰な警戒など、より長く続く傾向にあるPTSDの症状を全体的にさらに軽減することに焦点を当てるべきであることを示唆しています。

論文詳細　

原文の要約 :

Many patients evince significant post-traumatic stress disorder (PTSD) symptoms after a dose of an evidence-based treatment (EBT) for PTSD. Little research systematically addresses if individual PTSD symptoms are more or less resistant to change through an EBT for PTSD or have greater or lesser post...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

PTSD治療における症状軽減のばらつき

PTSD（心的外傷後ストレス障害）の治療分野では、エビデンスに基づいた治療（EBT）によって症状が軽減される一方で、治療後も症状が残存する患者がいることが課題となっています。本研究では、PTSDのEBTである長期露呈療法（PE）を受けた患者を対象に、個々のPTSD症状がPEによってどの程度軽減されるのか、また治療後の症状の重症度がどの程度異なるのかを調査しました。その結果、PEによってほとんどの症状は同程度に軽減される一方で、回避症状は他の症状よりも大幅に軽減されることがわかりました。また、治療後の症状の重症度には大きなばらつきが見られ、睡眠障害や過剰警戒は平均以上の重症度を示し、一方トラウマ性健忘、未来の短縮、フラッシュバックは平均以下の重症度を示しました。

症状の改善：まだ課題が残る

この研究結果は、PTSDのEBTであるPEが多くの症状の軽減に効果的である一方で、一部の症状は依然として改善が難しいことを示唆しています。特に、睡眠障害と過剰警戒は、治療後も重症度が高い傾向が見られ、これら症状に対する新たな治療法の開発が求められます。

睡眠の質を高めるための工夫

睡眠の質を高めるためには、リラックスできる環境を作ったり、就寝前に温かいお風呂に入ったりするのも有効です。また、規則正しい生活リズムを維持することも重要です。PTSDは、人々の生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。本研究は、PTSDの症状軽減に貢献する新たな治療法開発のための重要な情報を提供するとともに、睡眠の質向上はPTSDの治療において重要な要素であることを示唆しています。

ラクダ博士の結論

PTSDの治療では、症状の改善に個人差があることがわかりました。特に睡眠障害と過剰警戒は、治療後も重症度が高い傾向が見られ、今後の研究でこれらの症状に対する新たな治療法の開発が期待されます。砂漠のラクダは、厳しい環境の中で生き延びるために、睡眠にも工夫を凝らしています。夜間の気温が低い砂漠では、ラクダは立ったまま眠ることで、体温を維持しています。PTSDの治療においても、患者それぞれの状況に合わせて、適切なサポートを行うことが重要です。