非ホジキンリンパ腫に対するCD19キメラ抗原受容体T細胞療法後の侵襲性真菌感染症の発生率が低い

著者: AleissaMuneerah M, BeluchKatherine, Gonzalez-BoccoIsabel H, HammondSarah P, JacobsonCaron A, KooSophia, LittleJessica S, Manne-GoehlerJennifer, MartyFrancisco M

原題: Low incidence of invasive fungal disease following CD19 chimeric antigen receptor T-cell therapy for non-Hodgkin lymphoma.

概要

本研究は、ルーチン的な抗真菌予防なしに非ホジキンリンパ腫（NHL）に対してCD19 CAR T細胞療法を受けた患者における侵襲性真菌感染症（IFD）のリスクを調査しました。CAR T細胞療法は治療に革命をもたらしましたが、サイトカイン放出症候群（CRS）や感染症などの副作用を引き起こす可能性があります。本研究では、この患者群におけるIFDはまれであり、抗真菌予防がすべての症例で必要ではない可能性があることを示唆しています。

論文詳細　

原文の要約 :

CAR T-cell therapy has revolutionized the treatment of hematologic malignancies, although its use may be complicated by toxicities, including cytokine release syndrome (CRS), immune effector cell-associated neurotoxicity syndrome (ICANS), and infections. Invasive fungal disease (IFD) has been report...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

キメラ抗原受容体T細胞療法における真菌感染症のリスク

CAR T細胞療法は血液悪性腫瘍の治療に革命をもたらしましたが、サイトカイン放出症候群(CRS)や免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)、感染症などの毒性が問題となることがあります。CAR T細胞療法後には侵襲性真菌症(IFD)が報告されていますが、抗真菌予防薬なしでの発生率は不明です。最適な予防戦略については広く議論されています。

本研究は、2017年12月から2021年9月にかけて、非ホジキンリンパ腫(NHL)に対するCD19 CAR T細胞療法を受けた成人280人を対象とした単施設後ろ向き研究です。患者は、日常的な抗真菌予防薬(抗酵母薬や抗カビ薬)を投与されていませんでした。細胞注入日から最終フォローアップまでの間にIFDを特定しました。IFD発生までの時間に基づいて、IFDフリー死亡、救済療法開始、造血幹細胞移植を競合リスクとして、100日および18か月における累積発生率関数を算出しました。

8人の患者(2.9%)がIFDを発症し、そのうち3人はニューモシスチス・ジロベシ肺炎、3人は侵襲性カビ感染症(IMI)、2人は侵襲性酵母感染症(IYI)でした。競合リスクを考慮した100日のIFDの累積発生率は1.8%(95%信頼区間[CI]: 0.8%～4.4%)でした。280人の患者のうち、CRS(85%)やICANS(55%)などの早期毒性、および30日以降の3～4度の中性球減少症(41%)やCD4陽性T細胞数の減少(20%)などの後期毒性は一般的でした。

抗真菌予防薬なしでの真菌感染症は稀

本研究の結果、日常的な抗真菌予防薬を投与せずにCD19 CAR T細胞療法を受けたNHL患者の真菌感染症発生率は、頻繁な毒性にもかかわらず、まれであることが示されました。これは、IFDの発生率が低い施設では、日常的な抗真菌予防薬は必要ない可能性を示唆しています。

真菌感染症のリスクと予防

CAR T細胞療法は画期的な治療法ですが、免疫抑制による真菌感染症のリスクも忘れてはなりません。本研究では、日常的な抗真菌予防薬なしでも真菌感染症のリスクが低いことが示されましたが、個々の患者や医療機関の状況に合わせて適切な予防策を検討することが重要です。真菌感染症の兆候や症状を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。

ラクダ博士の結論

ラクダ博士は、広大な砂漠を旅する中で様々な植物や生き物と出会ってきました。その経験から、環境によって生息する生物や起こる現象は異なることを学びました。本研究のように、医療現場においても、施設や患者の状況によって適切な治療法や予防策は異なることを認識することが重要です。今回の研究結果は、真菌感染症のリスクと予防について新たな知見を与えてくれました。ラクダ博士はこれからも、様々な研究を学び、砂漠のような広大な知識を深め、より良い医療の発展に貢献していきます。