BRAF V595E変異型犬前立腺がん細胞株の樹立と、犬前立腺がんに対するMEK阻害剤の抗腫瘍効果

著者: BonkobaraMakoto, HoriTatsuya, IkedaAkiko, KawakamiEiichi, KobayashiMasanori, KobayashiMasato, KuboYoshiaki, MichishitaMasaki, NagashimaTomokazu, OchiaiKazuhiko, OnozawaMoe, TamuraKyoichi, WatanabeShiho

原題: Establishment of a BRAF V595E-mutant canine prostate cancer cell line and the antitumor effects of MEK inhibitors against canine prostate cancer.

概要

MEK阻害剤であるトラメチニブは、BRAF V595E変異を有する犬の前立腺がん（cPCa）細胞に対して有意な抗腫瘍効果を示しました。in vitro研究では、トラメチニブは細胞増殖を抑制し、非がん細胞への細胞毒性は最小限でした。in vivo研究では、トラメチニブは腫瘍容積を減少させ、キ67の発現を用量依存的に低下させました。しかし、トラメチニブ治療は、異種移植片マウスにおける骨形成と関連していました。

論文詳細　

原文の要約 :

Canine prostate cancer (cPCa) is a malignant neoplasm with no effective therapy. The BRAF V595E mutation, corresponding to the human BRAF V600E mutation, is found frequently in cPCa. Activating BRAF mutations are recognized as oncogenic drivers, and blockade of MAPK/ERK phosphorylation may be an eff...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

犬の prostate cancer への新しい治療法：MEK阻害剤

犬の prostate cancer は、犬における悪性腫瘍の一つであり、効果的な治療法が確立されていません。本研究では、犬の prostate cancer に多く見られるBRAF V595E変異に着目し、MEK阻害剤による治療効果をin vitroおよびin vivoで検証しました。

研究チームは、犬の prostate cancer 患者から採取した組織から新しい prostate cancer 細胞株CHP-2を樹立しました。CHP-2細胞株は、ヒトのBRAF V600E変異に対応するBRAF V595E変異を持っていました。研究チームは、MEK阻害剤（トラメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ）がCHP-2細胞の増殖を強力に抑制することをin vitroで確認しました。特に、トラメチニブは、CHP-2細胞に対して高い効果を示し、非がん性細胞COPKに対しては最小限の細胞毒性を示しました。

MEK阻害剤は、BRAF V595E変異を有する犬の prostate cancer 細胞株に対して高い治療効果を示す

さらに、研究チームは、CHP-2細胞を移植したマウスに、トラメチニブを経口投与し、その抗腫瘍効果をin vivoで検証しました。その結果、トラメチニブは、腫瘍の増殖を抑制し、リン酸化ERKレベルを低下させ、腫瘍中のKi-67発現を抑制しました。トラメチニブ投与群では、用量依存的に腫瘍容積が減少しました。トラメチニブ投与群では、明らかな副作用は観察されませんでしたが、投与量に依存しない骨形成が認められました。

犬の prostate cancer の治療に新たな光を

本研究は、MEK阻害剤が、BRAF V595E変異を有する犬の prostate cancer の治療に有効である可能性を示唆しています。MEK阻害剤は、BRAF阻害剤に加えて、犬の prostate cancer の治療薬の選択肢となる可能性があります。

ラクダ博士の結論

砂漠を旅するラクダは、厳しい環境の中で、様々な病気にさらされます。犬の prostate cancer も、犬にとって深刻な病気の一つです。今回の研究は、犬の prostate cancer の治療に新たな光を灯すものです。この研究が、犬の prostate cancer に苦しむ多くの犬たちを救うことを願っています。