パニック障害に対する集中的な認知療法と標準的な認知療法の比較

著者: BeckA T, BeckJ S, BrownG K, NewmanC F, TranG Q

原題: A comparison of focused and standard cognitive therapy for panic disorder.

概要

この研究は、パニック障害に対する集中的認知療法（FCT）と標準的な認知療法（SCT）を比較しました。FCTは、パニック症状の"壊滅的な誤解"を特にターゲットにしたのに対し、SCTは一般化された不安に焦点を当てました。両方のグループで、パニック症状が有意に改善し、1年間のフォローアップで、パニックフリーの患者の割合が類似していました。この研究は、当初、FCTはパニックに特化した焦点があるため、より効果的であると仮定していましたが、両方の療法とも同等の有益性がありました。これは、パニックに特化した信念だけでなく、一般的に不安に関連する信念に焦点を当てることで、パニック障害の治療に効果的である可能性があることを示唆しています。この研究はまた、パニック発作を軽減するための認知の変化の潜在的な重要性を強調しています。

論文詳細　

原文の要約 :

The relative efficacy of two psychotherapeutic approaches to panic disorder, namely, focused cognitive therapy (FCT) and standard cognitive therapy (SCT) was examined. FCT focused specifically on the "catastrophic misinterpretation" of physical and psychological sensations experienced during panic a...掲載元で要旨全文を確認する

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パニック障害治療における認知療法：焦点を絞ったアプローチの効果

パニック障害は、予期せぬパニック発作によって日常生活に支障をきたす精神疾患です。認知療法は、パニック障害の治療に有効な方法として知られていますが、その中でも、パニック発作に焦点を絞った認知療法（FCT）と、一般的な不安に焦点を絞った認知療法（SCT）のどちらが効果的かを比較検討しました。

研究では、パニック障害と診断された40名の患者を、FCT群とSCT群の2群に分け、それぞれ約12～18回の治療セッションを行いました。その結果、両群とも治療終了時には、パニック症状の重症度が有意に改善することが分かりました。さらに、1年間の追跡調査では、FCT群の84.2%とSCT群の89.5%がパニック発作から解放されました。興味深いことに、パニック発作の頻度、不安、抑うつなどの尺度において、両群間に有意な差は見られませんでした。

パニック障害治療の新たな視点を提供

この研究は、パニック障害の治療において、パニック発作への直接的な暴露（誘発されたパニック発作に対する対処練習）は必ずしも必要ではなく、一般的な不安に関する認知を改善するだけでも効果が期待できることを示唆しています。ただし、両群において、パニック発作の改善は、パニック関連の信念の正常化と相関していたため、認知の変化はパニック発作の改善に重要な要素であると考えられます。

ラクダ博士の結論

パニック障害の治療は、砂漠の蜃気楼を追いかけるようなもので、不安や恐怖に立ち向かう必要があります。FCTは、砂漠のオアシスのような存在で、パニック発作に直接立ち向かうことで、症状の改善を目指します。一方、SCTは、砂漠の広大な風景を眺めるように、不安全体の改善を目指します。どちらのアプローチが効果的かは、患者さんによって異なります。大切なのは、自分にとって最適な治療法を見つけることです。