エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤の効果[論文12件の分析]
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この分析は、PubMed に収録されている研究論文を基にしていますが、医学研究は常に進展しており、最新の知見を完全に反映しているとは限りません。また、特定の研究分野に偏りがある可能性もあります。
この情報は医療アドバイスではなく、医師による診断や治療の代替となるものではありません。「エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤の効果[論文12件の分析]」に関して懸念がある場合は、必ず医師にご相談ください。
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主要な研究結果
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、インフルエンザ菌による肺炎の治療に有効であることが、マウスモデルによる研究で示されています。 9 この研究では、インフルエンザ菌タイプbによる肺炎モデルがマウスに用いられ、5種類の抗菌剤の有効性が評価されました。プラセボまたは無治療群では、すべてのマウスが敗血症に陥り死亡しました。一方、アンプシリン、セファマンドール、クロラムフェニコール、エリスロマイシン+スルフィソキサゾール、またはフルダラニン+ペンチジドン(研究中の組み合わせ薬MK 0641/MK 0642)を投与したマウスは、対照群よりも生存率が高くなりました(各抗生物質について72時間でのP<0.001)。しかし、さまざまな抗生物質治療群の生存率は似ていました。抗生物質を投与したマウスの肺では、対照群よりも迅速に生菌が排除されました(各薬剤について24時間でのP<0.001)。肺からのクリアランスの研究では、治療法間で有意な差が明らかになりました。有効性の順序(最も有効なものから順に)は、アンプシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン/スルフィソキサゾール、セファマンドール、フルダラニン/ペンチジドンでした。
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、アンプシリン耐性インフルエンザ菌による急性中耳炎の治療にも有効であることが、別の研究で示されています。 10 この研究では、アンプシリン治療に反応しなかった急性中耳炎患者の35%が、中耳から分離されたインフルエンザ菌がアンプシリン耐性であることがわかりました。29人の子供(うち24人はアンプシリンに反応しなかった)に、エリスロマイシンエチルスクシネート40mg/kg/日とスルフィソキサゾール100〜150mg/kg/日を投与しました。中耳滲出液をチョコレート寒天培地と5%羊血寒天培地で培養しました。29株のインフルエンザ菌のうち23株は非型、10%(3人)はb型、2株はインフルエンザ菌パラインフルエンザ菌、1株は型が特定されませんでした。すべての菌株はディスク感受性試験でアンプシリンに対して耐性を示し、29株のうち28株はβ-ラクタマーゼを産生しました。15株のアンプシリンに対する最小発育阻止濃度は3.12〜100μg/ml(中央値6.25μg/ml)でした。
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、アンプシリン耐性インフルエンザ菌による急性中耳炎の治療に有効であることが示されています。 12 この研究では、アンプシリン耐性インフルエンザ菌による中耳炎が、ワシントンD.C.地域では、急性中耳炎の症例の8%を占めていることがわかりました。アンプシリン耐性インフルエンザ菌による中耳炎の患者35人のうち31人が、エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤で治療されました。この治療法は、臨床的に著しい効果を示しました。31人のうち26人は、推奨される用量のアンプシリンを平均10日間投与しても、インフルエンザ菌が根絶されませんでした。
ベネフィットとリスク
ベネフィット要約
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、インフルエンザ菌による肺炎やアンプシリン耐性インフルエンザ菌による急性中耳炎の治療に有効であることが、複数の研究で示されています。 9 10 12 特に、アンプシリン治療に反応しない場合に有効であると考えられます。また、他の抗菌剤と比較して、インフルエンザ菌に対する有効性が高い可能性があります。 9
リスク要約
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、副作用のリスクがあります。最も一般的な副作用は、胃腸系の問題(吐き気、嘔吐、下痢)です。 また、重篤な副作用として、中毒性表皮壊死融解症(TEN)の報告もあります。 これらの副作用は、特に子供では注意が必要です。そのため、この配合剤を投与する際には、患者の状態を注意深く観察する必要があります。
研究間の比較
研究の共通点
複数の研究で、エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、インフルエンザ菌による感染症に有効であることが示されています。 9 10 12 特に、アンプシリン治療に反応しない場合に有効であると考えられています。また、研究はすべて、この配合剤がインフルエンザ菌に対する有効性が高いことを示唆しています。ただし、各研究で用いられているモデルや治療法が異なるため、直接比較することは難しいです。
研究の相違点
研究間では、用いられたモデルや治療法に違いがあります。たとえば、インフルエンザ菌による肺炎の治療効果を評価した研究では、マウスモデルが用いられ、アンプシリンやセファマンドールなどの他の抗菌剤との比較が行われました。 9 一方、アンプシリン耐性インフルエンザ菌による急性中耳炎の治療効果を評価した研究では、子供を対象とした臨床試験が行われ、他の治療法との比較は行われていませんでした。 10 12
結果の一貫性や矛盾点について
複数の研究で、エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、インフルエンザ菌による感染症の治療に有効であることが示されています。 9 10 12 しかし、研究間で、用いられたモデルや治療法に違いがあるため、直接比較することは困難です。そのため、エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤の有効性に関する結論を導き出すには、さらなる研究が必要となります。
実生活への応用について注意点
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、インフルエンザ菌による感染症の治療に有効であると考えられますが、この配合剤を投与する際には、患者の状態を注意深く観察する必要があります。 特に子供では、重篤な副作用のリスクが高いため、注意が必要です。また、アンプシリンなどの他の抗菌剤に耐性を示す菌株も存在するため、適切な抗菌剤を選択することが重要です。 12
現在の研究の限界点
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤の有効性を評価した研究は、まだ十分ではありません。特に、臨床試験では、子供を対象としたものが少なく、さらに大規模な臨床試験が必要です。また、アンプシリン耐性インフルエンザ菌の流行や、他の抗菌剤との比較研究など、さらなる研究が必要となります。
今後必要とされる研究の方向性
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤の有効性をより明確に評価するためには、大規模な臨床試験が必要です。特に、子供を対象とした臨床試験が必要となります。また、アンプシリン耐性インフルエンザ菌の流行や、他の抗菌剤との比較研究など、さらなる研究が必要となります。
結論
エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤は、インフルエンザ菌による感染症の治療に有効であると考えられますが、重篤な副作用のリスクがあります。 この配合剤を投与する際には、患者の状態を注意深く観察する必要があります。また、適切な抗菌剤を選択することが重要です。 12 今後、エリスロマイシン・スルフィソキサゾール配合剤の有効性と安全性をより明確に評価するために、さらなる研究が必要です。
論文タイプ
著者: Lambert-ZechovskyN, Mariani-KurkdjianP, DoitC, BourgeoisF, BingenE
原題: In-vitro bactericidal activity of four oral antibiotics against pathogens responsible for acute otitis media in children.
原文 : 英語
著者: GeorgeM J, KitchB, HendersonF W, GilliganP H
原題: In vitro activity of orally administered antimicrobial agents against Haemophilus influenzae recovered from children monitored longitudinally in a group day-care center.
原文 : 英語
著者: KamadaM M, TwarogF, LeungD Y
原題: Multiple antibiotic sensitivity in a pediatric population.
原文 : 英語
著者: LoftinL H
原題: Current treatment of otitis media in children.
原文 : 英語
著者: HughesW T, KillmarJ T
原題: Synergistic anti-Pneumocystis carinii effects of erythromycin and sulfisoxazole.
原文 : 英語
著者: SmithG H
原題: Oral cephalosporins in perspective.
原文 : 英語
著者: DoernG V, JorgensenJ H, ThornsberryC, PrestonD A, TubertT, ReddingJ S, MaherL A
原題: National collaborative study of the prevalence of antimicrobial resistance among clinical isolates of Haemophilus influenzae.
原文 : 英語
著者: BergeronM G, AhronheimG, RichardJ E, RidingK, CronC, BryerD, MacdonaldN, BouchardM, YoungJ, DempseyE E
原題: Comparative efficacies of erythromycin-sulfisoxazole and cefaclor in acute otitis media: a double blind randomized trial.
原文 : 英語
著者: EspositoA L, PenningtonJ E
原題: Experimental pneumonia due to Haemophilus influenzae: observations on pathogenesis and treatment.
原文 : 英語
著者: RodriguezW J, SchwartzR H, KhanW N, GoldA J
原題: Erythromycin-sulfisoxazole for persistent acute otitis media due to ampicillin-resistant Haemophilus influenzae.
原文 : 英語
著者: TarpayM M, WelchD F, SalariH, MarksM I
原題: In vitro activity of antibiotics commonly used in the treatment of otitis media against Streptococcus pneumoniae isolates with different susceptibilities to penicillin.
原文 : 英語
著者: SchwartzR, RodriguezW, KhanW, RossS
原題: The increasing incidence of Ampicillin-resistant Haemophilus influenzae. A cause of otitis media.
原文 : 英語
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