筋萎縮性側索硬化症（ALS）/運動ニューロン疾患（MND）に対する、リルーゾール

著者: MillerR G, MitchellJ D, MooreD H

原題: Riluzole for amyotrophic lateral sclerosis (ALS)/motor neuron disease (MND).

概要

リルーゾール100 mg/日を服用すると、ALS患者の生存期間をわずかに延ばす効果があると見られる。

論文詳細　

原文の要約 :

BACKGROUND: Riluzole has been approved for treatment of patients with amyotrophic lateral sclerosis (ALS) in some countries but not others. Questions persist about its clinical utility because of high cost, modest efficacy and concern over adverse effects. OBJECTIVES: To examine the efficacy of ril...掲載元で要旨全文を確認する

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筋萎縮性側索硬化症(ALS)/運動ニューロン疾患(MND)に対するリゾール

砂漠の砂のように、多くの人々を苦しめる筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気について、研究は進められています。リゾールは、一部の国ではALSの治療薬として承認されていますが、他の国では承認されていません。リゾールは高価であり、効果も限定的であることから、その臨床的有用性については疑問視されています。また、副作用に関する懸念も依然として残っています。

この研究では、リゾールが生存期間を延長し、生存維持のための代替手段(気管切開と人工呼吸器)の使用を遅らせる効果について調べました。コクラン神経筋疾患グループレジスターで無作為化試験を検索し、試験の著者や分野の専門家に問い合わせました。最新の検索は1999年6月に行われました。研究の種類は、無作為化試験でした。参加者は、ALSと診断された成人でした。介入の種類は、リゾールまたはプラセボによる治療でした。アウトカム指標は、主要評価項目として、リゾール100mg投与による12か月時点の死亡率パーセンテージ、副次的評価項目として、リゾール100mg投与による時間に対する死亡率パーセンテージ、リゾール全用量による時間に対する死亡率パーセンテージ、神経機能の尺度、生活の質、筋力、副作用などでした。

リゾールは生存期間をわずかに延長する可能性

2件の適格な試験には、合計で794人のリゾール投与患者と320人のプラセボ投与患者が含まれていました。方法論的品質は許容範囲内であり、試験は容易に比較できました。リゾール100mg投与による12か月時点の死亡率パーセンテージという主要評価項目において、2件の試験の両方でリゾール群とプラセボ群間に有意な差が見られました。併合した試験のオッズ比は、12か月時点で0.57(95%CI 0.41～0.80)でした。副次的評価項目では、リゾール100mg投与群では、6か月、9か月、12か月、15か月時点の生存期間がプラセボ群よりも長かったものの、3か月時点と18か月時点では生存期間に差はありませんでした。大規模試験のリゾール50mg、100mg、200mg投与群のプールデータでは、プラセボ群と比較して、リゾール群の死亡率が12か月時点のみ低下しました(オッズ比(OR)0.64、95%CI 0.47～0.88)。バルブ機能や筋力には有益な効果はありませんでした。生活の質に関するデータは乏しかったものの、リゾール投与群はプラセボ投与群よりも有意に長い期間、中等度の健康状態を維持していました(加重平均差(WMD)35.5日、95%CI 5.9～65.0)。リゾール投与群では、対照群と比較して、血清アラニンアミノトランスフェラーゼが3倍に増加する頻度が高かった(WMD 2.65、95%CI 1.51～4.65)。

リゾールはALS治療の選択肢の一つ

リゾール100mg/日投与は、ALS患者の生存期間をわずかに延長する効果があるようです。しかし、リゾールは高価であり、効果も限定的であることから、その臨床的有用性については疑問視されています。また、副作用に関する懸念も依然として残っています。ALSの患者さんは、医師と相談し、自分に最適な治療法を選択することが重要です。