短期間 vs 長期間の炎症性腸疾患における生物学的製剤の有効性：ランダム化比較試験の体系的レビューと個別患者データメタ分析

著者: Ben-HorinShomron, ChenMin-Hu, ChowersYehuda, ColombelJean Frederic, GuoJing, HibiToshifumi, KaplanGilaad G, KobayashiTaku, MaoRen, NovackLena, Peyrin-BirouletLaurent, SergienkoRuslan, ZhangJian, ZhaoYue

原題: Efficacy of Biologic Drugs in Short-Duration Versus Long-Duration Inflammatory Bowel Disease: A Systematic Review and an Individual-Patient Data Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.

概要

クローン病（CD）に対する生物学的治療は、短期間（18か月以下）の疾患と長期間の疾患（18か月以上）の患者で、同等の有効性を示した。潰瘍性大腸炎（UC）では、疾患の期間に基づいて有効性に差はみられなかった。

論文詳細　

原文の要約 :

BACKGROUND AND AIMS: Starting biologic treatment early in the course of inflammatory bowel disease (IBD) may be associated with higher efficacy, especially in Crohn's disease (CD). METHODS: This was a systematic review and individual-patient data meta-analysis of all placebo-controlled trials of bi...掲載元で要旨全文を確認する

ラクダ博士の論文要約ブログ

生物学的製剤は炎症性腸疾患の経過時間の長さで効果が異なるのか？

炎症性腸疾患（IBD）の治療において、生物学的製剤の効果は、病気の経過時間の長さで変わるのかを検証した壮大な研究ですね。研究では、IBDの治療薬として承認されている生物学的製剤に関する、プラセボ対照試験25件を分析したそうです。研究者は、IBD患者の経過時間を18か月以下と18か月以上で分け、それぞれクローン病と潰瘍性大腸炎の患者さんで分析したそうです。

生物学的製剤の効果は？

クローン病では、病気の経過時間が18か月以下の患者さんのほうが、生物学的製剤による寛解導入率が高かったそうです。しかし、生物学的製剤とプラセボの効果を比較した結果、病気の経過時間の長さに関わらず、効果の差は認められなかったそうです。潰瘍性大腸炎では、病気の経過時間の長さに関わらず、生物学的製剤の効果は安定していたそうです。

炎症性腸疾患の治療は？

炎症性腸疾患は、生活習慣の改善や薬物療法など、様々な治療法があります。病気の経過時間や症状によって適切な治療法が異なりますので、医師に相談して、適切な治療を受けてください。

ラクダ博士の結論

この研究は、クローン病では生物学的製剤の効果が病気の経過時間の長さに影響を受ける可能性を示唆しています。しかし、潰瘍性大腸炎では、病気の経過時間に関わらず、生物学的製剤は安定した効果を示すことが示唆されています。炎症性腸疾患は、適切な治療によって症状が改善されることが多いので、早期に医師に相談することが大切です。